内容説明
考古学と中世史の論客が、日本の歴史学から抜け落ちていた事柄を掬いとり、それぞれの観点から縦横に論じ合う。東国騎馬軍団の活動、雄大なスケールで行われた海の交通、さまざまな物資のダイナミックな交流、知られざる女性たちの活躍…。そして「日本」とはなにか。常識を打ち破ったところに真の日本が立ち現われる。
目次
1 馬の活躍と人間の争い(東国の騎馬軍団;東国の渡来人と馬文化;東と西、馬と船;隼人と馬 ほか)
2 海からの交流(北陸・能登;港を押さえた豪族・寺社;商業活動と信仰;隠岐と佐渡 ほか)
3 歴史の原像(鋳物と塩の交流;隠された女性の活躍;名前と系図;天皇と「日本」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tom
4
原著は1992年刊。言わずと知れた中世研究家・網野善彦氏と考古学を専門とする森浩一氏の対談。対談は大洗の旅館で二泊三日にわたって行われた。昔の出版業界ってこういう企画多いよね。出版社の経費なんだろうけど、今はこういうことできないんだろうな。本当に日本は貧しくなった。対談はたいへん刺激的で、そんなに大した文量でもないが一気に読んでしまった。中国の南船北馬に倣うと日本は西船東馬というのは面白い。陸の道は残るから検証しやすいが海の道は残らないというのはなるほど。古代以前から日本人は舟を大いに活用していた。2023/11/14
壱萬参仟縁
2
お二方の対談集。森先生によると、積石塚は長野県で最大とは知らなかった(29ページ)。しかも、高句麗の人たちとの交流があったとは。では、どうしてハングル文字を学習する習慣が現代まで続いていないのか。しかし、朝鮮学校はあることはある。この点は、機会があれば確認しておきたい。歴史を学ぶのは、暗記でなくて、古への想像力を持てることではないか。驚かされたのは、肥満の高利貸しの女の絵(217ページ)。これによると、マツコデラックスが中世にもいたのか、と思わされる。いろいろな意味で、驚きのある歴史の本は興味が尽きない。2013/01/04
めりこ
1
とてもおもしろかった!素人が読んでも楽しい。海上交通のインパクト、女性の活躍、日本は長らく沢山の中心をもつ集合体であったこと。教科書のイメージを覆す過去の人々の活躍が生き生きと語られる。何より二人の先生が歴史が好きで、そこから立ち上がってくる新たな視点にわくわくしているその様子も魅力的。よい対談であった。2018/07/14
草津仁秋斗
1
史学家・網野善彦と考古学者・森浩一の対談。網野のいつもの主張と、森の考古学の視点からの多彩な話。裏バージョンの日本史といった感じで、とても面白かった。2014/03/11
墨桃
0
なかなか示唆に富む内容だった。もう少しいろいろ探して読み込んでみよう。2016/01/09
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