内容説明
古代ギリシアに、九百年余にわたって存続し、西洋的学問の源泉となる学園があった。その名は「アカデメイア」。その精神像は周知の通りだが、はたして具体的身体像はいかなるものであったか?古典文献を渉猟しつつ、実像に迫る。
目次
1章 学園の自然環境
2章 研究と教育のための施設
3章 創設の時期
4章 法的地位―宗教結社か
5章 経済―学園の経済的基礎
6章 学園の日常
7章 予備学問―科目とその性格
8章 学園におけるプラトン―その役割と教育法
9章 学問の自由
10章 黄金の連鎖―学園の存続をめぐって
11章 学園の終焉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えふのらん
3
プラトン以前以後といえばこの人。今回はプラトンの対話篇、書簡集からストア派の文献までを網羅してアカデメイアの実体を解明する。プラトンの学説を絶対視せず老いも若きも議論をぶつけ合うことが奨励されていた、というあたりはソクラテスの弟子という感じでリュケイオンとの違いを感じさせる。といっても問答法まっしぐらというわけではなく、当初は哲人政治を実現するために政治家を育成していたとか純粋数学を奨励し実測による生ものの研究は抑制気味というような教育方針もふわっとあったらしい。2022/11/27
bittersweet symphony
3
プラトンが始めた学究組織アカデメイアが実際どういうものであったかはほとんど資料がなく実際のところ根拠のない伝聞に頼って再構成するしかない訳ですが、本書はその苦労多くて実りの少ないと思われる試みに果敢に挑んだ一冊。結論的には経営的に独立を維持できるような基盤を持っていたことが一番のストロングポイントだったというある意味身も蓋も無いものになっております。2018/10/13