内容説明
『源氏物語』をやがて生む素材に満ちた『宇津保物語』は、日本最古の長篇物語として物語文学に大きな影響を与えた。本書は、特に重要な「俊蔭」巻を、現代語訳、語釈、余説で詳細に解読する。俊蔭―俊蔭の娘―仲忠―犬宮と一家四代にわたって継承される琴の伝承譚と、時の権門源正頼の娘あて宮をめぐる十六人の求婚譚の二本立ての物語が展開する。貴族から庶民に至る人間模様を生き生きと綴る好編。
目次
俊蔭の生い立ち
波斯国に漂着(遍歴一)
阿修羅との出会い(遍歴二)
秘琴の由来(遍歴三)
天人の降臨と予言(遍歴四)
七仙との出会い(遍歴五)
仏の来迎(遍歴六)
仏の予言(遍歴七)
俊蔭の帰国
俊蔭の娘誕生〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おゆ
8
タイトル通り<俊蔭>巻に特化した内容、あて宮については小匙1杯程度の触れ方。各章は原文・語釈・余説の構成、うち語釈は学生さんに有り難い懇切丁寧さなので今回は流し読み。余説は読み応えがあり面白かったけれど、仏教(特に大乗仏教・浄土宗)についてある程度おさえておかないと厳しいかも。その他には最近読んだ「竹取物語」との比較が多く、むしろそちらの講義を受けたくなった。肝心の<俊蔭>巻の内容は王朝版少年漫画のようで、冒険あり奇跡あり親子の情あり恋ありで大層面白かった。続きが気になるけど、このレーベルにはないのかな。2017/03/28
月見里
3
多分続きがあると思うんですが、図書館にも読書メーターにもないのでちょっと不安ですυ本文、現代語訳、語釈が揃っていて、余説がとても面白く、わかりやすかったので、出来ればこの方の宇津保が読みたいです。三八の「をりあらむとき」がなぜかここだけ「チャンスをみて」というカタカナ訳でつい笑いました。2011/06/10
Э0!P!
1
当時の全てが詰まったような話だった。2013/12/19
Komine Masako
1
現代語訳付き。宇津保物語と、俊蔭という話の二本立てと思いきや、「俊蔭」って宇津保物語の第1章だったのね…。そりゃないよ!続きが気になるじゃん!どうりでタイトルにある俊蔭の扱いが軽いと思ったのよ。。。俊蔭誕生から、俊蔭の娘とその息子の仲忠が、仲忠の父親に引き取られるまでは、おとぎ話のよう。そこから先は、おおよそ平安時代文学の典型な感じらしいけど、どうなんだろう?その後のざっくりしたあらすじは載ってるけど、読んでみたい。現代語訳付きで最後まであるの、ないかしらん。2013/05/07
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