内容説明
不敬神の罪に問われた法廷で死刑を恐れず所信を貫き、老友クリトンを説得して脱獄計画を思い止まらせるソクラテス。「よく生きる」ことを基底に、宗教性と哲学的懐疑、不知の自覚と知、個人と国家と国法等の普遍的問題を提起した表題二作に加え、クセノポンの『ソクラテスの弁明』も併載。各々に懇切な訳註と解題を付し、多角的な視点からソクラテスの実像に迫る。新訳を得ていま甦る古典中の古典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
156
古代ギリシアの哲学者として有名なソクラテス。そのソクラテスの晩年の話が書かれているのがこの本である。ソクラテスが無実の罪で裁かれるときから死刑までの間どんなことを考えていたがわかる。悪法もまた法なり。この言葉はとても有名なものであるがソクラテス自身は1度も言っていない。このことはとても興味深い。悪法もまた法なりという言葉がソクラテスの生き方のように感じる人もいる。だがこの本を読むとまったく違うことがわかる。正義しく生きることとよく生きること。ソクラテスのように生きれないが本当に勉強になることが多かった!2021/01/18
(haro-n)
64
「ソクラテスの弁明」のみで感想を軽く…。本文のあとに解題が付いていてソクラテスの考えを理解する大きな助けとなった。ソクラテスは、「神に従う」とか「神に仕える」ということを頻繁に言ったり「神格(ダイモニオン)」を重視していたりするのだか、その意味がよく分かった。当時のアテネの社会、政治、近隣ポリスとの関係等を知ることで、ソクラテスの考えや彼に対する周囲の批判の実態をより深く理解できるのだろうと思う。本の最後にはクセノポンの「ソクラテスの弁明」も載っていて、読み比べができるのがよい。古典期にも興味が出てきた。2017/08/03
金吾
28
○『ソクラテスの弁明』を読むとソクラテスがムカつかれる雰囲気かわかるような気になります。『クリトン』を読んでやっとソクラテスの言動の根底に少し触れたように感じました。2025/10/29
茉莉花
27
個人的にソクラテスの考え方は好きなので再読しました。不正のとばっちりに遭うことではなく自分が不正を行うことに罪がある。どんな些細な悪でも行わない、理性ある人間として恥じない生き方をするって難しいと思う。欲望や恐怖に駆られてつい・・・ってこともあるだろう、けど無様な生き方より堂々とした生き様、死を選ぶって私は格好良いなと思っちゃう。周りからは命の大切さを軽視してると思うだろう。けど、私は精神の方が命よりも大事だと思います。良い生き方をする、これをモットーにやっぱ生きていこうと思いました。2017/01/25
小木ハム
23
『無知の知』の呼びかけによって多数の弟子ができたソクラテス。″訳知り顔で頭カラッポ″と暗に言われた知識人らは面白い筈もなく、″若者を堕落させた罪″として彼に死刑を宣告する。ソクラテスはこの裁判を不正と知りつつも『悪法も法である』と言って毒杯を飲む。(あるいは国の降した正義を尊重し彼らを″よく生かす″ための判断)。彼は悪法に従ったのではなく、己が信念『よく生きる』ことに従った。多くの弟子に囲まれるソクラテスは、保身に走る政治家の目には″国を脅かすカルト指導者″の様に映っていた事だろう。2019/12/18




