内容説明
急速な科学技術の発展によって進歩と成長を続けてきた現代の社会。環境破壊や遺伝子操作、脳死問題など、今、われわれは既成の理論や哲学では解決できない多くの課題に直面している。科学と人間、さらには文化と政治とのかかわりを、環境倫理学や歴史哲学を視点に捉えなおし、成熟の社会を目ざすべき二十一世紀に求められる哲学・思想のあり方を探る卓抜の論考。注目の丸山真男論もあわせ収める。
目次
1 科学技術と人間はどう折り合うのか(事故の中の人間の顔―運命と偶然性の哲学;遺伝子解読時代;技術文化からの問いかけ)
2 「成長の束縛」から逃れる時、人間は…(さまざまなる正義;日本型民主主義の危機;中国が近代化する条件 ほか)
3 丸山真男論―近代主義の思想史的問題点(日本との距離感―偶像・丸山真男;日本的心性への批判的主体―東京裁判と丸山真男)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
17
進歩史観に抗して、技術が生み出す新たな問題や歴史哲学に展望を描こうとしているが、いまいち切れ味が鈍くて精彩を欠く文章が多い気がする。技術の事故から人間というファクターを抜かすことができないことや遺伝子工学が提起する優生主義の問題など、なるほどとは思うが、細部がぼんやりしている印象。だが、話題になった丸山真男論はさすがに面白い。丸山の西洋理解が、19世紀ドイツに生まれた一面的な哲学史理解を引きずっていることを批判し、その言葉選びの甘さや日本思想観の欠陥を突こうとしている2014/12/31
sk
4
現代の問題を端的にとらえる鋭利な論文集。加藤先生のキレが充分伝わってくる。2015/05/17
Haruka Fukuhara
2
前書きが知的な雰囲気で面白い気がした。ちょっとアプローチの仕方が親しんできたものと違って興味深いと同時に読み進めにくくて、しばらく積読してみたものの前書きからなかなか進まない・・・2017/05/10
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