内容説明
「私の物語るのは次の二世紀の歴史である。」西欧的近代文明の根底からの批判者ニーチェは、自身の予言どおり没後一世紀となる現在も、偉大なる同時代者の輝きを失わない。1970年代のフランス思想の近代批判においてニーチェの精神は甦り、一方ドイツのハーバーマスは「力への意志」は非合理性への転回だと激しく論難した。後代の批判をも踏まえて、ニーチェを今どう読むべきかを第一人者が説く。
目次
1 初期ニーチェの学問批評について―ニーチェと古典文献学
2 解釈、芸術、力への意志
3 ニーチェと哲学的人間学―あるいはニーチェ対哲学的人間学
4 自由と権力
5 教養主義批判から自然と芸術の回復へ―ニーチェとホルクハイマー=アドルノ
6 芸術による反抗の位置づけをめぐって―ニーチェとハーバーマス
7 市民文化への批判的視点―ネオ・マルクシズムと保守革命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
7
第4章「自由と権力」は第二次大戦下のイタリアでニーチェが読まれていた証拠の引用から始まり、導入部からしてワクワクさせるが、最終的には制度内外の自由についての考察を通して生き生きとした彼の思想を素描する。第6章はハーバーマスのニーチェ批判に基づいて論旨が展開されるハイコンテクストな論文で自分の読解力ではほとんど理解できないことが理解でき、ニーチェ批判をしたハーバーマスもまた批判される流れを追うだけで精一杯だった。ドイツ哲学にますます精進したくさせる一冊。最終章の著者によるハイデガー批判も興味深い。2018/02/21
bittersweet symphony
1
ドイツ/ゲルマンの伝統に対するエクスキューズとして機能しているニーチェはそれゆえ「欧州の外部に位置するギリシャ」に惹かれている訳だけれど、ドイツ/ゲルマンの伝統に立脚している著者から見るとその辺が上手く咀嚼できていないのではないか。刊行当時的には本命であるフランクフルト学派界隈をタイトルにするのは難しかったためタイトルにしやすいニーチェを無理に捻じ込んだうえで、ニーチェ以外について語るのを目的としているように読める。2019/05/21
砂糖 翠
1
取り上げられているハーバーマスによるニーチェへの批判、すなわち美的経験の絶対化による理性批判、その美はまさにニーチェが批判する近代から分節化したものに過ぎないという指摘はまさに当たっており、ここから連なるフーコー、ニーチェがよく言われる一貫性のなさなのかもしれない。しかし、そうした批判を正面から受けてもありあまる意義を本書は示してくれている2016/05/06
代理
0
時代を感じてしまう本。論文をまとめただけの本。『現在にも影響をおよぼすニーチェの影』みたいな本ではない。2012/10/20




