内容説明
ソクラテスを中心に、二人のアテネ市民とその息子たち、ラケスとニキアスという高名な二人の将軍たちのあいだで「勇気とは何か」を主題に展開される対話。息子たちの教育法にはじまる議論が、ソクラテス一流の誘導により、ソクラテス自身を含めた一同の「勇気」に対する無知の確認に導かれる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シローキイ
29
評価に困る作品だ。しかし、手軽に読めるという点は大きい。勇気とは何かを問い詰めようとしたら、結局煮え切らない形で終幕する。解題がこの難解さに助け舟を出してくれるのでありがたい。そこには、文学作品として見るか、隠された哲学的要素を探し出すかという見方が掛かれている。幸いにも平易に読めるので探し出すという選択は骨折りな作業ではなさそうだ。『テアイテトス』と同じく目的を見るのではなく、探り出す手段を見ていく作品だと思った。2017/06/09
あや
22
字が大きく訳注も多く解説も長く本文は短い。プラトンは学生時代に日本文学科のゼミで『饗宴』を講読し、プラトンの著作に興味を持った。本書はソクラテスを中心に会話体ですすむのでテンポよく読めるけど意味をうまく把握できなかった。裏表紙によると、ソクラテスを中心に二人のアテネ市民とその息子たち、ラケスとニキアスという高名な二人の将軍たちの間で「勇気とは何か」を主題に展開される対話、とある。プラトン初学者の必読書とある。解説によるとプラトンは紀元前427年生まれ。97年刊。2026/05/28
K
14
リュシマコス、メレシアスは、息子たちの教育のために、重武装闘技を学ばせるべきか、という問いを将軍であるニキアスとラケスに対して発する。ニキアスはすべきと思い、ラケスは反対する。そこに居合わせたソクラテスにも意見を求めるが、「どのようにすれば彼らの息子たちの心に徳が備わって、彼らを前よりも優れたものとすることができるか」という問いに持ってかれる。ソクラテスはそれを答えることは自分にはできないと言い、ラケスとニキアスにもそれを同意させた上で、対話していくこととなる。続く2021/08/31
みのくま
10
本書は勇気についての小品だが、内容は把握しやすいのに比して哲学的な理解は難しい。青年の教育という話題から徳の一部としての勇気の定義について議論される。ソクラテスの対話相手は彼より年上の将軍、行動派ラケスの知性派ニキアス。はじめラケスは武人らしい朴訥とした人に見えていたが、ソクラテスに論破されて以降はニキアスを道連れにしようと躍起になる小物感がすごい。ニキアスは終始冷静に対応しているが、随所に見られる鼻につく感じがうまく表現されており、のちにシチリア島での戦闘で敗死する悲劇が透けて見える。本作は傑作だった。2026/01/08
記憶喪失した男
8
勇気についての対話編だが、わたしには納得のいかない対話編である。ラケスの述べる勇気の定義にソクラテスが反論する。だが、わたしにはソクラテスの反論が勇気を的確に指摘しているとは思えなかった。しかし、これより後に書かれた「プロタゴラス」ではソクラテスの勇気についての主張が変わっているので、プラトンは勇気については多いに迷いがあったようだ。わたしには結局、勇気とは何かよくわからない。2018/02/02




