内容説明
皇帝制度と官僚制が確立し、中国の国家体制を決定づけた紀元前三世紀からの四百年を考察。始皇帝や劉邦、項羽など英雄と庶民の織りなす壮大な歴史を中国史の泰斗が詳細に説く力作。
目次
第1章 秦帝国の形成
第2章 秦帝国の崩壊と漢帝国の成立
第3章 漢初の劉氏政権
第4章 武帝時代の外征と内政
第5章 霍氏政権の成立と崩壊
第6章 儒教の国教化と王莽政権の出現
第7章 後漢王朝の成立
第8章 後漢王朝の推移とその対外関係
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
19
26頁。秦漢帝国の国家構造をそれ以前の国家構造と区別する最も特徴的なものは郡県制の施行である。この郡県制に対してそれ以前の国家構造の特徴とされるものが封建制である。封建制とは天子がその一族や功臣を諸侯として各地に分封し、その地域の氏族の支配を世襲的に行わせるという国家構造のことであり、主として周王朝の支配体制として理解されているものである。この封建制には始皇帝が天下を統一したときに廃止され、代わって全国をいくつかの郡に、そして郡の内部をいくつかの県に分け、郡と県にそれぞれ中央から地方官を派遣して、2023/02/04
Tomoichi
12
中華帝国の礎を築き、その後の支那の体制に影響を与えた秦・前漢・新・後漢。秦漢帝国の実像を考察した作品。あまり注目されていないが、王莽の新がその後の支那における儒教と国家体制の関係性を決定づけたという点は印象に残った。しかしこの国の殺し合いはえげつない。オススメ度100点!2016/02/22
Hatann
8
中国古代統一国家の秦と漢の歴史を素描する。秦は法家思想に基づき国政を引き締めて官僚制と郡県制による中央集権国家を志向する。秦の苛烈な法治主義体制に反発した農民層及び豪族層が漢の成立を導く。漢における郡国制の導入は中華帝国が冊封体制を通じて周辺国家を取り込むことの理論的基盤となった。建国当初の漢は法家・儒家思想の二元論により施政したが、次第に儒家を国教化していった。匈奴からの防衛、西域その他の周縁への侵略など、帝国化に基づく周縁での戦争に巨費を投じた結果、国内が疲弊して農民・地方豪族の不平不満を高めた。2019/05/05
中島直人
8
東アジア世界の成立という観点からの秦漢帝国の歴史的考察。ストーリーがしっかり確立されているので、読みやすく頭に入りやすい。オススメ。2015/10/12
珈琲好き
6
このシリーズは読み応えがありそうなので少しずつ制覇したい。前漢後漢については横山光輝があんまり描いてくれなかったので、頭の中の欠けてたピースが埋まった感じ。王莽の新については本人の失策もさることながら、前漢時代の貧窮した農民の群れという矛盾が一気に噴出しちゃったんだろうな。赤眉の乱も農民集団は統率が取れてたというのも意外だったし、劉秀の単に敵を誅殺するのではなく吸収してしまうという硬軟取り入れた態度も感心した。曹操が黄巾族を休止してでかくなったみたいなもんかな。あと後漢の匈奴は弱体化しすぎ。2017/10/01
-
- 和書
- 修復的正義序論