内容説明
足利義輝・義昭の二人の室町将軍を支え、信長・秀吉・家康の三人の天下人から信任されて近世細川家の祖となった細川幽斎(藤孝)。戦国武将として乱世の興亡を生き抜く中で若くして歌道に志し、二条家の古今伝授を受けた幽斎は、古典、茶の湯、料理、音曲、礼式、有職故実など、あらゆる学芸の理を究めた。馬と茶の湯を知らぬは武士の恥、と説いた稀代の文人武将の波瀾の生涯をいきいきと論述する。
目次
第1章 武将としての生涯
第2章 幽斎と歌道
第3章 幽斎と芸道
第4章 幽斎の著述
第5章 その人物
第6章 家族と子孫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
190
ピンチの信長を裏切ろうとする将軍義昭を諫めたのが細川幽斎。聞き入れられぬと知って籠城し、のち信長に仕えて義昭の助命を乞う。本能寺の変では旧友光秀の救援要請に乗らず剃髪し、秀吉からの書状にも冷静に応えている。情勢の見極めと筋の通し方がかっこいい。関ヶ原合戦では丹波の田辺城を守って寄せ手の西軍一万五千を五百人で持ちこたえ、源氏抄や廿一代集など古典の継承にも手を尽くしている(この件では勅使が遣わされた)。本書は武士としての幽斎のみならず、和歌、書道、茶道、音曲など多方面の活動から、その人柄に触れることができる。2024/08/17
Solidarity
1
細川幽斎の魅力を余す所無く描いている --- 非常に分かり易く、細川幽斎の人物像と魅力を、史料をふんだんに引用しながら、実証的に描いている好著。武将としての生涯、幽斎と歌道、幽斎と芸道、幽斎の著述、その人物、家族と子孫という目次になっており、幽斎の活躍と業績を読者は多角的に知ることができる。2025/02/22