内容説明
ハイデガー、メルロ=ポンティなど現代の哲学者に多大な影響を与えたフッサール。ユダヤ人の旧家に生まれ、数学に秀れた才能を発揮した学究の徒は、なぜ哲学研究に転じ、二十世紀諸学に多面的な役割を果たす現象学を確立するに至ったのか。本書はその生涯をたどる一方、主著『論理学研究』『イデーエン』などを抄訳。たび重なる転回にもかかわらず、深く首尾一貫した研究思索を明らかにした力作。
目次
第1部 フッサールと現代(フッサールと現代の思想家たち;本書の課題)
第2部 フッサールの生涯
第3部 フッサールの著作と哲学的歩み(現象学の生成;超越論的観念論;新しい還元の道)
第4部 相互主観性の謎とその解明(問題の経緯;『デカルト的省察』における相互主観性の理論;ヘルトの批判をめぐって;発生現象学への一視点)