内容説明
現代の「リヴァイアサン」ソ連の解体の後、「民主国家ロシア」によるチェチェンへの無差別攻撃は、全世界の人々に大きな衝撃をもたらした。このことはロシアの民主的な民族国家の建設が、きわめて困難な状況にあることを物語っている。国内に複雑な民族と宗教問題をかかえて苦悩するロシア。本書はその激動するロシアのイスラムと民族問題を、斯界の第一人者が確かなる史眼で捉えた刮目の書である。
目次
第1部 ソ連研究と中東研究のパラメーター
第2部 民族問題と危機の構図
第3部 ホモ・イスラミクスとホモ・ソビエティクス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
27
ソ連時代の中央アジアの情勢を知ることができます。知らなかったメスヘティア・トルコ人の話が印象的でした。またそもそも興味のあったクリミア・タタール人やアルメニア人の話は良かったです。2025/03/12
中島直人
2
崩壊直前のソビエト社会主義共和国連邦における、イスラム世界を巡る動向について、その成立の歴史から説き明かす。旧ソ連圏のイスラムを学ぶにあたっての、この本の持つ価値は失われていないのではないか。2012/06/11
ふみ
1
「スルタンガリエフの夢」の70年後の結末を描いた本。国民国家、民族国家の幻想が崩壊していくさまが圧巻。中央アジアでくすぶる民族問題にフォーカスをあてることで、ソビエト崩壊を予言した一冊。2010/03/21
ふみ
0
疲れはてて、思わず手にとった本。いや、単に「瀕死の」という字に反応しただけっぽい(滝汗)ソビエト時代のウズベク共和国農村地域がおかれた植民地的な産業構造が肥沃な大地に環境破壊と失業をもたらし、弱者同士の対立を巻き起こすさまが、なんかデジャヴュすぎて圧巻。2012/07/13