講談社学術文庫<br> ドイツロマン主義とナチズム―遅れてきた国民

講談社学術文庫
ドイツロマン主義とナチズム―遅れてきた国民

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  • サイズ 文庫判/ページ数 369p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061591752
  • NDC分類 311.3
  • Cコード C0122

内容説明

哲学者と詩人と音楽家の国ドイツが、なぜナチスを生んだのか。著者はドイツ第三帝国のイデオロギーの根源を1930年代からルターの宗教改革までさかのぼり明らかにしようとする。信仰の世俗化は、ドイツにおいては哲学や文化のかたちをとり、ロマン主義がドイツ固有のものの一切の実現であり最高の、刻印であると定義。ナチス的なものへの批判を含みつつドイツ精神の本質に迫る文庫オリジナル。

目次

1 大戦のあとに 西ヨーロッパの政治的ヒューマニズムに対するドイツの抗議
2 ビスマルクの帝国、国家理念なき大国
3 国家でなくして民族。ローマ帝国以来のコンプレックス
4 信仰分裂と福音派国教会のぎくしゃくした関係に発した世俗信仰の起源
5 ドイツ文化の宗教的機能 ルター精神とこの精神が啓蒙主義及びカトリックに示した反抗
6 ドイツ市民階級の非政治的姿勢に対する産業革命の影響
7 伝統の欠如と生の歴史的正当化への要求
8 キリスト教的時間意識の衰弱段階。歴史的世界像の変容と解体
9 カントからマルクスに至るイデオロギー懐疑の進展に見られる神という超世俗的権威の動揺
10 イデオロギー懐疑が一般化して理性という世俗的権威が動揺したこと、ニヒリズムという地盤の上で生きることの難しさ
11 失われた使命を再び探りつつある哲学、生物学が権威を持つ持代
12 意識の決定の場としての哲学のマルクス、キルケゴール、ニーチェによる破壊、そして善悪の此岸への脱出、つまりは政治への屈服

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

なっぢ@断捨離実行中

3
むかしどこかで宮台真司が絶賛していたと記憶している。ドイツ近代文学の精華たるロマン主義がいかに似非科学やオカルトなどと結び付きナチズムとして堕落していったかを事細かに書き記している。しかし、本書は実証的な『固い』歴史研究ではなくあくまで『精神史』の本なので、思想間の影響関係なり流通経路なりをおおまかに掴む以上の役割は果たしてくれないだろう。著者の豊かな教養によって生み出された歴史の流れに身を任せるがままに読むべし。2016/08/16

owlsoul

1
ナチス政権誕生の頃に書かれたドイツ思想史。哲学者と芸術家の国がなぜナチスを生んだのか。著者はルターの宗教改革にまで遡りその答えを導き出す。プロテスタントの抗議により、ドイツでは領主が領国の宗派を選ぶことになった。それはドイツの伝統となり、宗教は領土と結びつく官僚的性格を持つようになる。国民は自発的な信仰心を失い、そのエネルギーは芸術、そして哲学へと向かった。しかし、哲学は所詮学問であり普遍的信仰ではない。抽象的な哲学はやがて科学的な生物学に地位を奪われる。そして「優生学」を信奉するナチス政権が誕生した。2021/10/31

bookcustomer

0
装丁が気に入り買い読んだが、以前が西側の日本人がナチスの本やソ連の本を読んではいけなく、そのナチスの本が容認されてるのが極右の組織で、ソ連の本が容認されてるのがその極左の組織で、だったが、書店に普通に並び売られてるが、日本人がナチスの本を読むだけで極右と思われ、日本人が東洋人ですが、米国も日本と同じでナチスやソ連を忌避し、その文化を買い読むひとを危険人物指定にしたと思うが、それを忌避したらそれに詳しくないになり、ドイツ内で50年程、発禁だったヒトラーの我が闘争が解禁され書店に並びその印税収入が国庫にですが2025/06/25

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