内容説明
漱石が東京帝大で講義した十八世紀の英国文学をまとめた名著。当時の社会を鮮やかに再現し、それを背景に登場したスウィフトやデフォーの人間性と作品を論ずる。
目次
第1編 序言
第2編 十八世紀の状況一般
第3編 アディソンおよびスティールと常識文学
第4編 スウィフトと厭世文学
第5編 アレキサンダー・ポープといわゆる人工派の詩
第6編 ダニエル・デフォーと小説の組立
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
42
英国から帰国した漱石による東京帝国大学での講演をまとめたものになります。18世紀の英国文学について語ることで社会と風俗を鮮やかにして独自の観点を見せるところが興味深かったです。的確でユーモアがある文学評論と言えますね。2023/11/26
午後
2
18世紀イギリスの社会、風俗、時代精神について概観した後、『タトラー』や『スペクテイター』で雑誌文化の源流を作ったアディソンとスティール、時代にそぐわぬ厭世観と強烈な風刺精神を振るったスウィフト、理知的・人為的であり過ぎると評されてきたポープの真価、デフォーの悪口が書かれている。一世紀の社会と文学というかなり広いテーマを扱いながら、前年の文学論講義からの概念を敷衍しつつ、すっきりまとめ上げているのが凄まじい。簡潔な描写で人物や社会を活き活きと浮かび上がらせる筆致は流石。2022/12/26
amanon
2
英文の引用が多かったり、英文科畑の人以外には馴染みの薄い人が取り上げられたりと、一般向けとは言い難いが、概ね興味深く読めた。とにかく、明治時代にこれだけのレベルの英文学講義が行われていたということが驚異であると思うのだがどうか?できれば、本国の英文学研究者に評価を聞いてみたい。特に興味深かったのは、最後のデフォーを取り上げた編。解説にもあるとおり、デフォーに対する毒舌は殆ど完膚無きと言っていい程。ただ、そのような作者が書いた作品が現在も名作として残っているのか?ということを解き明かして欲しかった。2014/11/19
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