内容説明
賢治の『銀河鉄道』は、ドイツ自然主義のホルツが『ダフニス』で用いたdie Milch‐Bahnから発想を得、『ファンタズス』で輪廻の象徴であった銀河と結びつき誕生したのではないか。著者は、賢治の広範な読書世界を渉猟するなかで、詩語を文学の狭い領域から解き放ち、言葉による実相の具現を唱えたホルツと賢治に通底するものがあるのを発見する。比較文学的視点から光を当てた、創意に富んだ賢治研究書。
目次
1 「心象スケッチ」
2 『英独仏和哲学字彙』
3 「心象」
4 「エネルギー」
5 「比論」
6 「スケッチ」
7 『ファンタズス』
8 『絵のない絵本』
9 比較論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
宮沢賢治が読んだと思われる書物の背景や学校で学んだことをとにかく詳細に追っている。「この授業時間の配当表で見ると、宮沢賢治は外国語を一年と二年に毎週各四時間、三年の一・二・三学期に各五時間習ったことになっている。英語とドイツ語の二ヶ国語が正科であった。教授は文学士玉置邁であった。おそらく英語学専門と思われるが、経歴は詳らかではない」「大学出身の緒教授は英語のほかにドイツ語も読めるので…語学が好きで、語学を得意とする宮沢賢治が、人一倍やる気を起こしたことは想像するに難くない」2016/11/08
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