内容説明
賢治の『銀河鉄道』は、ドイツ自然主義のホルツが『ダフニス』で用いたdie Milch‐Bahnから発想を得、『ファンタズス』で輪廻の象徴であった銀河と結びつき誕生したのではないか。著者は、賢治の広範な読書世界を渉猟するなかで、詩語を文学の狭い領域から解き放ち、言葉による実相の具現を唱えたホルツと賢治に通底するものがあるのを発見する。比較文学的視点から光を当てた、創意に富んだ賢治研究書。
目次
1 「心象スケッチ」
2 『英独仏和哲学字彙』
3 「心象」
4 「エネルギー」
5 「比論」
6 「スケッチ」
7 『ファンタズス』
8 『絵のない絵本』
9 比較論