内容説明
個性豊かな比較文学の研究者達が、自らの研究テーマに即して西洋と日本の文学や思想、芸術が抱える諸問題に照明をあて、さらに和洋両文明の接触や衝突などを具体的に論考。また外国の比較文学者との対談、大胆な解釈による文献紹介を併せ収めるなどさまざまな視点から日本の比較文学のあり方を考察。意欲的なテーマと内容で比較文学の可能性を探り、その多彩で実りある発展の道をひらいた刮目の書。
目次
比較文学の視野―ホイットマン的文学の系譜
影響と選択―サンタヤーナとエリオットのゲーテ観
芸術運動の位置と形態―ドイツ表現主義の場合
材源研究の意味―芥川龍之介・里見〓・その他
知的刺戟の一様相―鴎外の『金毘羅』とゾラの『ルルド』
非西欧世界の「西欧化」運動―夷狄の国への冒険者たち
文学を「比較」することの意味―構造への志向こそ窮極だということについて
対談 比較文学の問題と展望
参考文献―日本における最近三十年間の成果を中心に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
3
サンタヤーナについての言及が珍しい「サンタヤーナによれば、あらゆる事物をその秩序と価値において観想しようとする哲学の働きは、本来、想像的なものであり、この点において詩人と哲学者の区別はない…ドイツ留学時代、カントを除くドイツの講壇哲学に早くも幻滅を味わっているサンタヤーナに対して、W・ジェイムズが親切な忠告の手紙を書き送った…サンタヤーナの生涯は、古代のデモクリトスやプラトンやアリストテレス、そしてスピノザから学んだ哲学的直観に依りつつ、ヨーロッパ近代の諸思想を批判的に述べることに、その大半が費やされる」2023/11/23
Nick Carraway
1
ホイットマン、サンタナーヤとエリオットのゲーテ観、ドイツ表現主義云々はチンプンカンプンだったが、「材源研究」の話題から俄然面白くなる。材源を探ることは単純に面白いということでいいではないか。それは「知的刺戟」として充分楽しい。芳賀徹の 「非西欧世界の『西欧化』運動」は集中最も面白い論考だった。「松陰や象山の詩文、坂本龍馬の手紙、川路聖謨や勝海舟の日記や座談、(略)栗本鋤雲の回想記や木戸孝允の日記といった、いずれも抜群の文学作品が、名をあげられることさえないこれまでの『近代日本文学史』」という視点に感嘆。2020/02/11




