講談社学術文庫<br> スミス・ヘーゲル・マルクス

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講談社学術文庫
スミス・ヘーゲル・マルクス

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  • サイズ 文庫判/ページ数 263p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061591004
  • NDC分類 331.2
  • Cコード C0130

内容説明

近代市民社会を考察して、アダム・スミスは土台である経済が「見えざる手」に支配されると考えた。後にヘーゲルは経済の自律的体系は不可能で、市民社会は国家に包摂されることで存立し得ると批判し、マルクスは経済の中の宥和なき矛盾のため市民社会は社会主義に移行すると説いた。本書は、西欧三大思想家が主張した自由主義、国家主義、社会主義の生い立ちと体系を独自の視点から考察した名著である。

目次

序説 問題提起
第1章 アダム・スミス―市民社会の解放
第2章 ヘーゲル―市民社会の国家への包摂
第3章 マルクス―市民社会の崩壊
結語 その後に来るもの
解説 難波田哲学と『スミス・ヘーゲル・マルクス』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

politics

4
アダム・スミス、ヘーゲル、スミス、三者の主要著作を丹念に検討しながら、自由・国家・社会主義の三体系から市民社会を考察した一冊。三者は共に評価すべき点と再検討すべき点があり、その為にもスミスにまで遡ってその思想を再検討すべきと著者は言う。市民や市民社会といった言葉は手垢が付きすぎてある種の党派性が強くなっているが、こういった古典レベルにまで遡って今一度、市民社会について徹底した考察が必須ではないだろうか。2024/04/02

日の光と暁の藍

2
難波田春夫という人物は、思想家の体系を掴むのが大変上手いのだなと感じた。それでいて細部の議論は全く厳密さを失わない。市民社会を支配する論理は何か。この問いに対して、スミスは調和、ヘーゲルは対立の統一、マルクスは宥和なき矛盾と答えたと難波田氏は述べる。宗教、道徳、法、政治からの経済の解放をスミスは唱えた。ヘーゲルとマルクスの議論を経て、難波田氏は以下のように結論付けている。様々に解放された経済は内部の矛盾のために、法、政治、道徳、宗教を回復せざるを得ないようになりつつある、と。以下はスミスの議論等について。2014/05/08

上り下り澱

1
スミス、ヘーゲル、マルクスそれぞれの市民社会論。市民社会とは現在の私たちが暮らすような、いわゆる民主主義、資本主義社会のことである。スミスはキリスト教進学から市民社会の調和を、ヘーゲルはそれを受け市民社会の対立と矛盾を、マルクスは更にそれを受け宥和なき市民社会の矛盾を指摘した。マルクスの説く市民社会はソ連の共産主義を経て破綻する。著者は、そのためスミスまで立ち返って市民社会を考え直す必要があると言う。2015/04/12

amanon

1
ヘーゲル、マルクスに関しては多少の予備知識はあったものの、アダム・スミスに関しては本当に断片的な知識しか有しておらず、本書の第一章にてスミスの多岐にわたる業績が手際よくまとめてあるのには、少なからず発見があった。後、本書が問題とするのが、近代市民社会論であり、いかんせんそのあたりの事情にもかなり疎いため、比較的小部であるのにもかかわらず、読み通すのに少なからず困難を覚えた。特にヘーゲルの章は読み通すのが正直言って辛かった。ただ、このような人間の意識まで掘り下げた政治哲学が必要なのでは?と思えた。2011/10/29

11Nendo11

0
個人的には前期授業の復習、または後期授業の予習になる一冊であったように思う。田村正勝による解説によって難波田哲学としてのこの本の立ち位置を知る契機を得た。さらに、マックス・シェーラーについて興味を持つに至った。2020/08/19

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