内容説明
ドイツの世界的建築家ブルーノ・タウトは、1933年に憧れの日本を訪れた。伊勢神宮や桂離宮など日本古来の建築にふれたタウトは、そこに日本美の極致を見た。簡素・単純・静閑・純粋―それらの絶妙な均斉を具現した桂離宮を絶賛、その対極として華美な日光東照宮を捉え、さらに仏像、能、歌舞伎などにも深い関心をよせた。日本文化の再評価に大きな影響を与えた。タウトの最初の日本印象記。
目次
序説―何故に私はこの書を書くか
敦賀
伊勢
桂離宮
天皇と将軍
生ける伝統
ニューヨークへ?
否―桂離宮を経て!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッキー
20
ブルーノタウトがここぞとばかりに桂離宮を大絶賛している本。翻訳者の訳がとても読みやすかったので助かった。これはどちらかといえば「批評」というより主観を交えたエッセイのようなものなのではないかと感じた。反復して同じことを述べてる箇所も多い。実際私は写真でしか桂離宮を見たことがないので、筆者の言っていることをイメージと重ね合わせることは難しかった。2017/02/13
本の蟲
14
京都桂離宮を絶賛したことでも知られるドイツの建築家ブルーノ・タウトが、1933年から3年間過ごした日本の印象。日本に古くから残る建造物から当時建てられて間もないもの、寺社仏閣はもちろん一般家屋や学校、ホテル、道路、都市計画についても率直に語っている。家はその土地の気候、文化風俗と密接に関わっていることから、専門家ではないので的外れかもしれないが、と断りを入れつつ、歴史や習慣、衣服についての所感も多い。もちろん褒めているだけではなく、醜悪、いかもの(偽物)という言葉もちらほらと。明朗簡素と機能美を好み、(続2020/06/13
Koki Miyachi
10
ブルーノ・タウト日本建築礼賛の書。西洋人でありながら、新鮮な目で見た日本を愛情を込めて語る。二十一年毎に繰り返す造営によって、常に新鮮な姿で立つ伊勢神宮を日本建築の古典と評価し、桂離宮を絶賛する。日本の文化や国民性もあたたかい目線で語る。ページをめくりながら、日本建築の美を世界に知らしめる役割を果たしてくれたタウトに、感謝の気持ちを禁じ得なかった。当時の建築意匠の権威、東京大学教授岸田日出刀が序文を寄せていることからも、当時の日本建築界の敬意が感じられて興味深い。2013/03/30
月
6
★★★★☆(昨年夏に伊勢神宮、今年1月に桂離宮へ訪れる機会があったので、寝かせていたタウトのニッポンを読む。ブルーノタウト、独の世界的建築家。ナチから逃れるように1933年憧れの日本へ訪れ亡命。伊勢神宮や桂離宮、修学院離宮など日本古来の建築に触れそこに日本美の極致を見る。日本の美しさや日本の良き伝統は日本の家屋の中に生きている。タウトによる日本の書は数々あるが本書はその最初の日本印象記。個人的には桂離宮の古書院・月見台より正面で捉える2つの満月を独特の空気感の中で眺めてみたいものである)2011/02/15
にゃん吉
4
著名な西洋人建築家が日本滞在時に遺した日本文化論。桂離宮や伊勢神宮に美を見出し(東照宮は装飾過多と否定的)、質素、清潔、純粋といった要素が日本文化の精華と分析して、このような特質への称賛、期待を示し、日本の中途半端な西洋化に苦言を呈したりしています。著名な建築家の特異な視点とか、単なる異国趣味ではなく、西洋的な機能主義の観点から、日本文化に美が見出せるようで、西洋的な観点からの普遍性も示唆されているカンジでしたが、私の建築の知識が乏しく、そうなのですねとしか言えないところも多々ありつつ読了。 2020/03/25