内容説明
上代から江戸時代まで、『古事記』から『東海道中膝栗毛』まで。日本古典文学の全史を渉猟し、特に読んで楽しい笑いの場面ばかりを選びぬき解説する。それは、とかく難解で敬遠されがちの古典文学に、どうか初心の読者も親しんでほしいとの著者たちの願いの具体化である。名うての歴史研究家、傑出した国文研究者として知られる著者たちが、無双の学殖と熱い情熱をこめて編述した異色の古典入門である。
目次
上世(天の岩戸 古事記;国引き 出雲風土記;むなぎ取めせ 万葉集;蓬莱の玉の枝 竹取物語 ほか)
中世(「鼻」と「芋粥」の原料 説話集;法師ぞろい 従然草;姿を隠す頭巾 狂言;章魚の足も八つ 歌謡 ほか)
近世(おだてられた塩売 初期の笑話集;長者になる秘訣 日本永代蔵;牢獄の芸づくし 諸国ばなし;ほのかなおかしみ 俳諧;江戸式になった笑話 中期の笑話集;生酔の礼者 狂歌;兎の切腹 黄表紙;猫が物いう話 随筆;酒に酔った鹿の声 膝栗毛 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
12
昭和16年の緒言にいわく「一般家庭に、明るくそして健全な読物を提供しようという目的」で「滑稽趣味を中心として国文学を通観」したと。よって不健全方面の笑いは残念ながら割愛されている。古事記に始まり江戸の川柳・俳文まで、品の良い笑いを著者三人が選び出した。ところが森銑三、柴田宵曲の二大人と並ぶ池田孝次郎氏の素性がよくわからない。解説の小出昌洋氏は「池田さんについては、私は寡聞にして知らない」と言うし、本書末尾には「共著者池田孝次郎氏及び御遺族について御存知の方は、編集部までお知らせをお願い」する始末。2021/03/29
かわのふゆき
0
昭和17年に2円で発行された本の復刊。ただし浮世風呂からの一編は現在の社会事情を鑑み削除したとのこと。その内容が気になる。載っていた早口言葉。「武具馬具、武具馬具、三武具馬具、併せて武具馬具、六武具馬具」。これは言えない…。2010/03/17
amanon
0
もともと子供向け(とはいっても恐らく今で言う小学校高学年以上が対象だろう)に書かれた物ということだが、昨今の子供達でこの本を読解できるのは、ほんの一握りに限られるだろう。まさに隔世である。また笑いの感覚という点においても、この本で取り上げられている古典がかもし出す笑いは、今日の我々にはなかなか理解しにくいものがある。しかし、だからこそ今の我々が失ってしまった素朴な笑いの感覚を後世に伝えるための縁としてこの本は少なからぬ価値を有すると思う。2008/11/11




