内容説明
本書はバーナード・ハットンの『ヨシフ・スターリンの私生活』の全訳である。単にソビエト連邦の指導者としてばかりでなく、全世紀の最も偉大な権力者であったスターリン。著者は権力につかれた一個の冷酷非道な人間の素顔を、その私的な面で把え、政治的色彩をつけずに一個人の掌中に握られたときに生れうる恐怖と悲劇の、またとない見本がここにある。
目次
1 奇跡のグルジヤ人(ふるさとの国クルジヤ;少年時代;危険な神学生;破壊的革命家の誕生 ほか)
2 権力の座をめざして(レーニンの帰国;武装峰起の宣言;ツァリツィンの攻防戦;クロンシスタットの叛乱;レーニン倒る ほか)
3 血の粛清による独裁の開始(新刑事訴訟法手続の布告;トロツキイの挑戦 ほか)
4 第2次世大戦と晩年(独ソ不可侵条約;独ソ戦はじまる;スターリンの決意 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
9
半世紀以上前に執筆された、スターリンについての評伝。副題にある通り、スターリンの私生活に重点が置かれている。著者はスターリンを始めその周辺の人々と親交があったジャーナリストで、それゆえスターリンの私生活については直接知る人々の証言が盛り込まれている。簡潔で読みやすいが、いかんせん出版された時期が古く、色々と疑問が残る部分はある。史料公開や研究が進んだ現代の水準から見れば、訂正されなければならない部分も多いだろう。そうした部分に注意しながら、スターリンを知るための手がかりの一つとして有用だと思われる。2024/07/31
glaciers courtesy
7
スターリンが自分の権力を守るために政敵や全くの無辜の人々の大量殺人を行ったという話は今ではごく当然の共通認識として語られるが、これはまだ、その詳らかな話はまだよく分かったいなかった時代の貴重な証言本である。かなり詳細に内容の真偽確認についての言及をしており、記述の信頼度は高そう。そんな極悪非道を絵にかいたようなスターリンではあるが、果たして彼が居なければ、ソ連はナチスドイツに勝つことが出来たのかは大いに疑問である。ソ連が早々に降伏していれば、歴史もまた変わったのだろう。世界は善意の人だけで動かせないのだ。2021/01/04
Ex libris 毒餃子
5
スターリンの私生活をメインにして書かれた本。なぜ、古参ボリシェヴィキがスターリンを「コーバ」と呼ばれているか、わかってよかった。私生活は性的奔放すぎて独裁者すぎると思った。書かれたのが1960年代であるため、現在、刊行されている本と異なる点がたくさんあるのも魅力的です。2020/05/16
nobody
3
初読時はさほど気にかからなかったが、訳がこなれず読みにくい。違和感は気にせずサッと読み進んだ方がよい(それが一般的な読み方か)。もしも冷酷・残忍無比の人間が絶対的独裁者になったらどうなるか。それがスターリンという現実である。その成功は専らメディアの不在による。知らされないことには批判もできない。第二次大戦のカオスもソ連の存立を救ったのではないか。レーニンを毒殺したスターリンはモロトフに毒殺される。あれほど好き放題粛清できたのに、なぜモロトフを粛清しておかなかったのか。妻も愛人も用済みとばかりに殺している。2016/05/19
juunty
2
ロシア革命の革命家は弱気な民主主義に翻弄されていた。もちろんレーニンも強行的な手段については慎重であり、民主的な革命を考えていた。それがスターリンの時代になって大きく方向転換し、粛清の時代を迎えるわけであるが、やはりスターリンの性格と国策に由来するものであった。しかしスターリンも単に自らのきまぐれによって政治路線を決めていたわけではなく、あくまでもソ連邦構成を目標にしていたという視点で描かれている。スターリンの遺言とも言える人物描写、葬儀の際の国民の敬愛など、肯定的な記述も多く見られた。2021/05/17
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