内容説明
日本ではタマシイのことを玉ともいう。人が死ぬと人玉は体外へ脱出し、時には暴れ回って人に憑いたり祟ったりする。こうして畏怖される人玉は、やがてシャーマンの呪術によって鎮められる。日本人のこのような霊魂観を、本書は、古代シャーマニズムと民間信仰および中世の死霊観にみられる怨霊思想などに探り、更に折口信夫の巫女観や柳田国男の祖霊観の見直しの必要性を説く。歴史民俗学の視点から日本人の霊魂観を考察した労作。
目次
古代郷土生活の民族学―シャーマニズムよりの追究
のろいの人形―古代人の霊魂信仰
怨霊から御霊へ―中世的死霊観の展開
怨霊観と2つの型
折口信夫と巫女観
柳田国男の祖霊観
民俗学と歴史研究―日本民俗学の限界について
歴史民俗学の構想―郷土における民俗像の史的復元
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
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呪いの系譜として①古代における「のろい人形」の研究から都市において悪霊の飛遊による禍を防ぐための禁呪の目的があったことを論じ②その呪いが貴族社会になるにつれて「怨霊」として対象を呪うことにしか目的を持たなくなり③やがて戦乱の世になり犠牲者を慰霊し(「直接志向型」)、またその力を以て災禍から守ってもらおうとする「御霊信仰」になる(「間接志向型」)──というプロセスを論じていく。また、女性の巫女としての役割から女房文学=日本文学や芸能が発生するという折口信夫論が面白かった。後半はマジで何の話かわからなかった。2021/12/23




