内容説明
「博物」とは広くものを知る、の意である。訓詁名物や本草の学に発した博物学は、人々の自然への愛好に支えられて、動植物の科学へと発展していった。学者たちはあくなき探求心をもって「見えない学校」を形成し、厖大な図譜を遺した。本書は、江戸期における博物学の開花を中心に、先史から現代に至る日本人の科学精神の歴史を一望した比類ない通史である。陸水生物学の第一人者によって著された、本邦博物学研究の金字塔的著作。
目次
序章―博物学
先史
古代(本草の渡来;国産動植物の知識;唐本草以後)
中世(鎌倉時代;室町時代;安土桃山時代)
近世(博物学的時代区分とその概観;博物学者の分類;旅行;西洋博物学の導入;西洋博物学者の来日;博物学者の著述;『本草綱目』の功罪;海外学述の導入と受容の速度;近代科学化への努力と理解;グループ活動;本草からの離脱)
近代(西洋博物学者の来日;博物局;博物学の進路;アマチュア博物学者)
終章
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Arisaku_0225
11
古代から近代まで、日本の本草学/博物学で共通しているのは①外国からの文献を訳してそれを基に日本の生物鉱物を分類していたこと②博物学を支えてきた人達としてアマチュアの人達の活動や活躍は無視できない。現代は博物学という学問は細分化/解体され、生物だったら分類学や生態学、石だったら鉱物学(?)などになったが、少なくとも魚類学に関しては今も「博物学」の伝統は途切れずに続いていると感じる。2023/11/08
絜
2
文庫化には単行本の通史部分のみ、博物学史年表は未収録。博物学の発展を論じる際に、外国書籍(特に漢籍)から知識を得ることより、日本での実地観察の有無を重要視。半分ほどの内容は近世を論じるもので、博物学とその周辺のにある本草学、名物学などの整理は明晰だった。出版物によって数量化にもしている。ただ、近代の紙幅は少なく、かつ大学の生物学科の成立に着目するものであるため、博物学と近代生物学の関係、特にアマチュアとプロフェッショナルとの関係はまだ少し疑問がある。2025/04/15




