内容説明
後深草院の特異な愛情のもとに寵遇されながら、西園寺実兼・法助法親王らとの愛欲生活を綴った上巻から一転し、下巻は作者後半生の、女性として稀有な長途の旅を記す。宮廷生活に訣別して出家した作者二条は西行の修行を慕い、鎌倉をめざす東海道の旅を手始めに、信濃・奈良・伊勢・また中国路など、当時の貴族女性としては驚異的な規模で諸国を遍歴する。『蜻蛉日記』をしのぐ個性と凄絶な迫力あふれる、注目すべき女流文学作品。
感想・レビュー
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こぽぞう☆
18
上巻に引き続き、現代語訳と解説をメインに読んだ。宮廷編と漂泊編ではかなり趣きが違うのがはっきりわかるのと、挿入歌がすべてみられるのはいい。続けて杉本苑子版も読む!2016/03/07
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
7
巻三。 あんな出来事があっても有明の月とは深みにはまっていく。院のせいでもあるが、それは恋に三角関係を作り出した方が燃えるというゆがんだ愛情だった。しかし疫病が流行って彼も死を覚悟し、間もなく死んでしまう。そうして院の作者への寵愛も冷めていく。亀山院との関係を疑われ、かつての弁解も忘れされた結果、御所追放の憂き目にあってしまった。その後、院の母である大宮院から北山准后90歳記念パーティーに誘われ、一旦は断るものの、問題ないから来いというので出席。→2024/12/21
CaLiLa
4
えぇぇぇ!!そんなストーカーで良いのですかぁ!!と叫んだところが大きい(笑)そして後深草院の考え方が仄暗く、うすら寒い…宮廷を追われるときの様子も……(苦笑) そして旅行記になると……面白さ半減。私すごいのよ、良い身分だったのよ、過去はすごかったんだから、と自分を慰めている気配がして嫌だった。 いや、地方での歌会の様子とか、アリだと思うよ?でも過去にすがって、未来が来世に向かう様は、当時の潮流かもしれないけれど、私には分からん。 あれだけの行程を行った彼女は根性の人だ2014/10/13
fukurou3
3
「あかこ」さん、遂に御所追放。その後、「増鏡」には「三条」として再度出仕したことが書かれているが、作者は自分にとって格好悪いところは思い切り省略して、出家後の諸国漫遊記が続く。ここでも各地で「あかこ」さんは人気者に。でも最後はちょっと寂しい身の上だけど、全般的にみて充実した人生だったのではないか。後深草・亀山の争いは将来南北朝分裂に繋がるもので、宮廷ポリティクスはかなり複雑だったもの思われる。その中で自分を見失うことなく生き、出家後も善光寺から足摺岬まで行脚とかなりアクティブ。「あかこ」さん、すごいです。2012/05/12
石ころ
1
有明の月怖いよ!と思ってたけど、割と二条も最後はちゃんと想ってたんだなーと。後深草院は何がしたかったのか……。2013/08/05
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- 和書
- 艶本江戸文学史 河出文庫