内容説明
現代―この不確実の時代は奇しくも中世的状況に酷似しているといわれる。相次ぐ天災と、人々の心に横溢した「無常観」の支配した末法の世。その暗黒の中世に生きた鴨長明とはいかなる人物で、その代表的著作である『方丈記』の根底の思想とは何だったのか。淡々たる事実の叙述の裏に積極的な「遁世」の意志を探り、また捨てがたき妄執の中に人間の業を観る白熱の対論は、この混迷の現代に生きる我々に大きな示唆を与えるだろう。
目次
1 長明とは誰か
2 『方丈記』を読む
3 歌のわかれ
4 遊狂の源流
感想・レビュー
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山がち
0
方丈記についての対談というよりは、長明その人に関する対談に近い気がした。やはり、比べられるのは聖人・歌人の西行である。西行と比べられ、なかなか長明に対する発言には厳しいものがある。肯定的にとらえられている時の方が少ないようにさえ感じられる。もちろん長明について語ること抜きに方丈記は語ることはできないだろうが、やはりもう少し方丈記それ自体について語っていてほしかった。そこが中途半端だっただけに、正直物足りないという思いがかなり強い。また、なぜ歌人の馬場あき子の相手が近世文学の研究者だったのかも不思議である。2012/08/24
おとや
0
特段悪いという訳ではないが、どうも蛇足感が……2009/04/09




