内容説明
戦前・戦後を通じて、国学者本居宣長への評価は多様を極めた。そして、宣長が同時に優れた小児科の開業医でもあった事実はよく知られているが、国学者宣長と医者宣長との内面的な相補関係については、これまであまり重視されてこなかった。本書はその宣長自身の存在構造の複合性の意味、とくに医者春庵と思想家宣長の統合の問題について考察した。宣長論をわが国精神史における最も象徴的な医・文両全者の視座から試みた劃期的評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
24
奥付には杏林大学教授とあります。なるほど、医療系の大学。本書は、医者:本居春庵と国学者:本居宣長との内面的な相補関係について考察しています。2015/07/09
うえ
8
デス・ストランディングやダークソウルのような世界観にも思える。「宣長は決して死を怖れる思想家ではなかったが、明らかに死穢を厭う思想家ではあった。死が最大の禍であることの意義は、それ<死>によって近親縁者のすべてが、蓋然として彼の世に旅立って再びは還らないという、その絶対的離別の不幸因であるからだけではない。むしろ、死が忽ちにして死穢として現実化することによって、この人の世のもっとも忌わしい禍の根因とならずにはいないからである、元来、死そのものは禍津日神の為したもう「幽事」にほかならない。」2024/07/13




