出版社内容情報
【内容紹介】
カンナはいつも「燃え」、「一つ」だけ枝に残った柿はきまって「夕陽」に照らされ、妻は「若く」、母は「小さい」――だれでも初めて俳句に手を出すとまず口をついて出てくるのが、こうしたきまり文句。初心者はこの紋切型表現と手を切らなければ、「四合目」から上に登ることはできないと阿部しょう人は説く。初心俳句の最も根深い欠陥をこれほど具体的に解明した本は他に例を見ず入門書としてこれは独創というに値する。(解説より)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くり坊
11
すばらしく面白かったけど、辛口。プレバトの夏井先生は実は大甘口だったんだなぁ。初心者の犯しがちなパターンの列挙が、あまりにも身につまされる。2016/03/22
moonanddai
9
この本に取り上げられている俳句の99%はダメという、いわゆる句作のタブー集。やってはいけないことは分かりますが(というか素人のやってることは、どうやらこればかりになるようですW)、句作となったら実際どうすればいいのでしょう。それでも本書は句会などでは「必読書」とされているやに聞きます。ともあれ、使い古された表現を使ってはいけない、言葉を使うには第一義のものに限るということは分かりました。読んで意味が通じない句は、変に作者に寄り添うようなことはせず、駄作だと割り切ります。そう考えると気が楽になりました。2020/04/07
チェリ
5
私は俳句入門者です。今後、句作に煮詰まるたび読み返すことでしょう。いま高浜虚子『俳句への道』を読んでいます。根底にあるものは同じだと思われますが、阿部氏『俳句』には「トンチンカン」な具体的俳句が豊富に紹介されています。また川柳や、俳句以外の文芸、実用文と(俳句との)違いについても解説されています。文体は手厳しい口調ですがクスッと笑えます。2014/04/28
kinaba
5
☆☆☆ 初心者の句15万を集めてダメな部分を分類してまとめたので、読者諸君はこの罠はさっさと全部切り抜けて先へ向かいたまえ、という、異彩を放つ一冊。主張の是非を判断できるほど僕は俳句に明るくないのですが、それでもわかるのは、とにかく論旨が異様に明確。俳句とは、自らの内に起こる心の動きを、「具象の言葉のみを用いて」、聞き手の心にその動きを再現させるフレーズとして凝結させたものである、と、目が覚めるほどはっきりしている。/ 小学校の国語の詩の授業なんかでも"思うがままに"ではなくて、こうクリアに教えてくれれば2010/07/20
Kuliyama
3
なるほどそうなのかと納得しながら拝読しました。あかん俳句はよく分かりました。良い俳句をどうやって作るかが難しいです。2017/05/29
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- 和書
- 目薬キッス 角川文庫