出版社内容情報
【内容紹介】
論語は、孔子の語、孔子が門人及び当時の人と問答した語、孔子の起居動作等を、孔子の死後に、門人の門人が論撰して編成したものである。孔子の言行録は他にもあるが、直ちに孔子の思想をうかがい、孔子の人格に接する書は、論語のほかにはなく、古来孔子の教えを奉ずる人たちに愛読され、「宇宙第一の書」、あるいは「人類の語では賞讃しきれないほどりっぱな書物だ」といわれている。(「解題」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
31
『論語』ないし儒教は、政治と結びつけられて語られることが多い。実際に中国では唐代に、日本では江戸時代に権威権力によって政治のあり方として位置づけられ、国の方針として上意下達という形をもって広まったからだ。しかし『論語』を綿密に読んでいけば、そのような位置づけが極端であることがわかる。かといって、臣民一人一人が心得て政治参加することによって徳治政治がなされる、下意上達の位置づけとも言えない。したがって『論語』のあるべき解釈は、上意下達でもなく下意上達でもなく、その「中庸だ」と解すべきだろう。つまり『論語』2021/12/14
朝乃湿原
11
本書は朱子の注による注釈が基になっている。論語関係書は何冊か読んできたが、朱子の注釈書としては初読である。非常に重厚な書籍であるため、一時読書を中断してしまったが、なんとか完読できた。さて内容であるが、表面的には通釈を理解したが、仁・礼・義などのキーワードは未だ曖昧で、抽象的に描かれているため、万人のための解釈ではなく各自の解釈が必要になってくる。今回の読書では自ら考えた解釈までは至らなかったが、何度か再読して研究していきたい。そして解釈してから、それを基にして行動に繋げていくことは更に難しいことで、ただ2023/12/15
amanon
7
数年前に読んだものを再読。それなりに興味深く読めたものの、初読のときほどの刺激を受けなかったというのが正直なところ。それより紀元前の中国史の史実について、もう少し注釈が欲しいと思ってしまった。ただ、初読の際と同じように、今時の為政者に読ませたいという気になった箇所が少なからずあったのも確か。昔も今も政治家に碌な人間がいないというのは変わらないが、『論語』を初めとする儒教の素養が多少なりともあったはずの昔の政治家のほうが、ちょっとはマシな気がするのだがどうか?高橋源一郎版の『論語』を読み返したくなった。2024/06/13
amanon
5
今の日本人に必要なのは、こういう教養ではないか?と思わされた。もちろん、その内容を鵜呑みにしろというのではない。今日的に見れば、現状にそぐわない箇所も散見される。ただ、そういう箇所も込みで本書を読み込み、批判検証していくことによって得られる知見は決して小さなものではない。折しも凡そ君子とは言い難い政治家が跋扈し、世間を牛耳っている昨今。もちろん本書で理想とされる君子が誕生する可能性は皆無だが、このようなモデルを前提にすることで、世の中をみる目がかなり違ってくるはず。古典の貴重さを改めて痛感した次第。2019/12/26
Taro Yamada
3
3回目。気になった言葉は図解しながら読み込み、さらに理解を深めることができた。600pと文庫にしてはかなり重いが、今後も1年に1回くらいは読み返して自分の原点に立ち返りたい2018/06/17