出版社内容情報
【内容紹介】
ニコライ堂で知られるロシア正教の宣教師ニコライは、幕末・維新時代の激動の渦中に日本に渡り、函館を本拠地に布教活動を行った。本書は、そのニコライがつぶさに見た日本の事情を、祖国の雑誌に発表したものである。日本の歴史・宗教・風習を、鋭い分析と深い洞察を駆使して探求し、日本人の精神のありよう、特質を見事に浮き彫りにしている。「日本人とは何か」を考える上に、多くの示唆を与える刮目すべき書である。本邦初訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
29
          
            幕末に来日した宣教師からみた日本の民族性、歴史は片寄っていると感じながらあの時代によくここまで修得したと感じ、興味深い内容でした。宗教に関しては、キリスト教以外への低評価は狭量かつ傲慢であり、当時の西洋の鼻息の荒さを感じます。天皇への評価とその後の弁明はおかしさを感じました。2024/04/16
          
        Toska
15
          
            50年間を日本宣教に捧げたニコライが、最初期の8年で著した日本レポート。後年の日記と比べると、この段階での日本論はまだ生硬で偏見も強く感じられるが、それだけに彼が日本から受け取ったみずみずしい印象を伝えるものでもある。ニコライによれば、当時(明治2年)の日本はすでに驚くばかりの西欧追随を示し、政治と社会のダイナミックな変貌が進んでいた。これを機会に日本をキリスト教化、というのは今日の我々からすれば荒唐無稽だが、同時代人には意外に現実性があると見られていたのかもしれない。2024/05/17
          
        N島
14
          
            神秘のベールに包まれた幕末~明治を紐解く、正教宣教師ニコライが綴るレポート。正教徒の視点から見る伝統的な日本の宗教観には興味深いものがありますな。日本における正教の布教活動は時流によるところにもよりますが、残念ながら成功はしませんでしたが、彼の名を関する日本でも有数のカテドラルの存在が、彼のレポートを引継いだ活動家達がもたらした大いなる成果の一つとして評価されるべきものではないでしょうか?正教徒と言葉を交わす際に共通言語として必要不可欠な知識がここにはあります。2019/05/21
          
        秋田健次郎
10
          
            宣教師の書いたものということで、キリスト教礼賛とかあるのかと思いきや内容はかなり中立的で、むしろ日本の歴史をざっくばらんに解説してくれる良書だった。基本的なところで日本へのリスペクトはあるから読んでて不快になるようなものでは決してない(むしろ結構高く評価してる)。「貧乏なのは政府のせいだと皆愚痴を言いつつも物乞いもいないし街は賑やかである」という序盤の一文がなんとなく日本っぽい。サピエンス全史を読み進めてる身として、宗教の話とか少し重なる部分があって面白かった。日本史初心者におすすめの一冊です。2025/03/03
          
        紙魚
5
          
            タイトルはあまり適切でない気がする。内容は、正教会の司祭であるニコライから見た、日本の諸宗教、歴史についての概説といったところ。異教からの観点ではこう評価するのか、という面白みがある。江戸初期のキリスト教禁教についても、寧ろヨーロッパ人の植民地主義を批判するあたりに、この人の人柄が出ているのだろうか。幕末世相については維新の顛末、会津戦争について書かれているくらい。2009/04/11
          
        

              
              

