出版社内容情報
【内容紹介】
仏教の原典を求めたいという求道者の一心から、厳重な鎖国をしくチベットに、あらゆる困難にうちかって単身入国を果たした河口慧海師の旅行記。抜群の面白さをもっているだけでなく、チベットの風俗・習慣等についての的確な記述は、本書をチベット研究のための第一級の基本的文献としている。この最終巻では、ラサを出立した慧海師が、厳重な五重の関門を奇跡的に踏破して英領インドに達し、海路日本に帰国するまでが述べられる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
12
やっと最後の巻を読み終わりました。旅行記といっても並大抵のものではなく、この国を無事出国できるのか、という手に汗を握るような感じです。この本は校訂してくれているので読みやく、また地図や図なども豊富に挿入されています。もう一度1巻からとおして読みたい気持ちです。2014/04/22
もりおか
3
西遊記ばりの冒険の数々にファンタジー小説かと見紛うが、大乗仏教の本拠地チベットを訪れ人民の気質、作物や気候、果ては外交関係にまで独自の意見を述べているのが何とも旅行記らしい。 もっと精神的な話かと思って身構えていたがそちらはかなり少なくて、わりかし俗っぽくて楽しい。2017/11/30
greenman
3
ついにラサを脱出した慧海師は、急ぎつつも堂々と5重の関門を突破した。彼の脱出後、チベットでは一大疑獄が巻き起こり、慧海師と関係があった人たちは受難の日々を送る。最初師は日本外務省をたよって解決しようとしたが断られ、その後ネパール国王から法王へ親書を送ることで解決しようとした。顛末はくわしく書かれていないが、彼らは無事に解放されたようだ。慧海師が真実に仏教をきわめようとしなければ、チベット潜入も、彼らを助けることもうまくいかなかっただろう。仏の御心を信じたくなる。2010/01/08
Rikiya Yamamoto
2
心に残った言葉のひとつ↓ 日本が強くなったのは?というネパール国王の問いに対して著者「人民を十分強健に教育して、天賦の愛国心を発揮せしめたからであります」2012/01/22
斑入り山吹
2
こんなに自分を律することの出来る人間が、現在にも居るのだろうか?2006/11/06