出版社内容情報
【内容紹介】
仏教の原典を求めたいという求道者の一心から、厳重な鎖国をしくチベットに、あらゆる困難にうちかって単身入国を果たした河口慧海師の旅行記。抜群の面白さをもっているだけでなく、チベットの風俗・習慣等についての的確な記述は、本書をチベット研究のための第一級の基本的文献としている。この巻では、ラサの人々の生活やチベットの外交について述べられるが、ついに素性が露顕しそうになり、慧海師はチベット脱出を決意する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
greenman
2
前半は3巻からの文化や慣習の流れを受け継いでいて、多岐にわたって描かれている。中でも外交に関することは、当時の情勢を考える上で一石を投じている。イギリスとロシアの対立は、鎖国中のチベットといえどもかなり影響をあたえていたようだ。本書の終盤では密事が露見されそうになり、逡巡の末チベット脱出を決意する。しかし慧海師のすごさは一言では言い合わせられない。彼はほんとうに仏法に守られていたのかもしれない。2010/01/08
カネコ
1
◎ 本巻の終盤、チベット人学僧になりすましてラサに滞在していた慧海は、ついに日本人であることが露顕しそうになる。が、危機に際しての慧海の聡明さと強運が際立つ。2009/06/20
ドウ
0
チベット国家とチベット仏教の対外関係およびその将来予測の話が多く、一番面白くなかった。やはり1・2巻のような冒険譚的な面白さを求めてしまう。ずっと気にはなっていたが、これほど熱心な仏教徒が、同じくらい熱烈に皇室を崇拝していることについて、彼の中でどのようにその相異なる2つへの信仰が両立しているのだろうか。2017/03/16
でこれ
0
イギリス対ロシアのグレートゲームの時代だということをいやでも認識させられるような内容であった。これまで庇護してくれていた清はアヘン戦争や、義和団事件とか日清戦争でみるみる衰微し、英領インドとロシアという虎狼のごとき強国が舌舐めずりして国を盗らんとする、という危機にチベットのような小国がどう立ち向かえるか。うんこれじゃダメっぽい、ということを予感させるな。2014/10/23
斑入り山吹
0
一気に読み通せる。2006/11/05