出版社内容情報
【内容紹介】
本下巻は、上巻の神話や中巻の神意による初代天皇の誕生、支配権の拡張展開とは異なり、きわめて人の世の色彩が濃い。天皇の妻問いや皇位継承をめぐる反乱、皇子たちの殺害、有力氏族の抵抗・滅亡という波乱万丈の朝廷内部の様相や支配者としての天皇像が鮮明に描かれている。天皇の恋愛、皇后の嫉妬、争闘、謀略の物語はいずれも透明で明るく、素朴な古代人の美しい人間性が生き生きと溢れている。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
28
神の世から人の世へ。2023/12/11
かんちゃん
25
古事記も下巻になるとすっかり生臭くなる。神話というよりも、皇位を巡る争い、女と見れば節操なく娶ってしまう権力者の愛欲。こうしてみると、戦後の象徴天皇のなんと平穏なことよ。生前退位やら女性の皇位継承やらで揉める程度なら、まぁ良しとせねばなるまい。2016/11/17
海
7
後半は、詳細が書かれていない方が多い印象だが、日本書紀で悪行三昧だった武烈天皇についての記録もあっさりしていて拍子抜け。名前を忘れたけど、部下の根臣の裏切りのせいで謀反の濡れ衣を着せられ、殺された異母弟が気の毒。推古天皇の治世が38年も続いていたとは知らなかったが、摂政の聖徳太子が国の基盤を整えてくれた功績が大きいと思う。2021/02/02
うた
7
恋愛事件と跡目争いは昔からあるということか。これを国造りの伝説として大真面目に語るのは、近現代ではなかなか面白い。そうとう端折っているでしょう(笑)。あと天皇の血族が書かれている箇所は読み飛ばすのが吉。ブエンディア一族どころじゃありません。戦前の小学生は、ほんとに全部おぼえたんですか?2010/05/11
マープル
5
下巻は仁徳天皇に始まり、推古天皇に終わる。解説にもあるが、終わりに近づくにつれて記述はあらくなり、尻すぼみの感は否めない。なぜこうなったのか、解説によれば、そこには古代の政治のからみがあるようだ。こうやって古事記を初めて通読してみて思うのは、国の成り立ちの不思議である。荒ぶる神、まつろわぬ人々。古代日本は斯くも混沌としていた。北方系の神話に南方系の神話。日本の起源はどこにあるのか、ロマンは尽きない。2022/05/27