出版社内容情報
【内容紹介】
日本のオピニオン・リーダーとして活躍した著者の「論理について」、「知識と知恵」、「書物の読み方」、「死と生」、「人間ができるということ」の5論文を収録。単なる知識の集積だけの現代の学問を反省、人生のための知識と知恵をいかに築いていくかを明快にとき、1人のすぐれた知識人の生き方をおのずと伝えてあますところがない。幅広い教養と豊かな人生経験に裏打ちされた深い洞察は混迷の現代を生きるわれわれに貴重な示唆を与える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
里馬
8
薄い!ページ以上(未満?)に内容の薄い本だった!!面白そうだからもっと笠信太郎さんの著作が読んでみたいよう!! 「論理について」「知識と知恵」「書物の読み方」「死と生」「人間ができるということ」の五論文収録2009/06/10
nobody
5
小幡操が解説で「笠さんがかつて言ったことは多く実現している」として列挙している笠の慧眼ぶり、「学識を偏重しない」、「高度成長のひずみを非難する」、「正しい見方は、たとえそれがいま容れられなくても、あくまで主張すべきだ」(朝日新聞論説室はこの笠の教えの故に「オピニオン・リーダーになった」のだという。その後の朝日の成り行きを正確に見るならむしろ逆の評価を下すべきだと思うが)、「イデオロギーは動く世の中を指導するものでない」、「自分に甘えるな」、「歴史を尊べ」、「ガンは時の問題である」、「スポーツはルールが簡単2022/09/28
大先生
3
笠さんがバードランド・ラッセル好きなのはよく分かりました。そして、謙虚な方なんだろうなというのは伝わってきましたが、論理・知恵・読書・生死・人間をつくるについては、物足りないというか、少なくとも私にはいまいち分かりませんでした。至道無難禅師の話だけは、少し分かったような、結局分からないような。生きながら死ぬ、身は死して生き残る。いかにも禅って感じがしますね。2020/04/09
虎哲
1
本ノ猪さんの紹介で何か得るものがありそうだと読んだ。違うテーマを扱っているようでいながら5つの論文それぞれが繋がっていると感じられるのは科学とはどういうものかという大きなテーマを常に考えて論じていたからだろう。「私どもが、何かを理解するということは、ただそれの理由を発見することにすぎない、と考える考え方」の「とりこになっている」(105-106頁)という指摘はハッとさせられた。常々考えている〈探究〉と繋がる「飛躍」についての箇所は面白い。問いをもとに知識を集積していき、あるところで主観的な確信へ飛躍する。2020/07/05
②
1
冒頭の辺りで述べている「色々のロジックがあるが、それらのロジックをさらに総合することが出きるならば、より高いロジックになっていく」という考えがこの一冊を貫いているように見える。また「死と生」の中で、科学で説明でできない「空虚」を「飛躍」によって乗り越えるとあるが、この飛躍に必要なのも他分野との総合であると思う。飛躍後のものは既に科学ではないだろうが。2013/09/09