出版社内容情報
菅野 覚明[カンノ カクミョウ]
著・文・その他
内容説明
存亡を懸けて自己を問う。武士道とは大和魂ではない。
目次
第1章 武士道とは何か(混乱する武士道概念;武士道の原像;実力稼業の世界)
第2章 勝ちがなければ名は取れぬ(実力とは何か;勝ちがなければ名は取れぬ;朽ちもせぬ空しき名;過激な分別;有るものは有る、無いものは無い)
第3章 主君と家来(頼もしき家来;妻子の一命;恋か、忠義か;諌言は一番槍にまさる)
第4章 一生を見事に暮らす(根本は人を切ること;死の覚悟;武士のたしなみ;我一人の精神)
第5章 明治武士道(軍人精神の成立;『軍人勅諭』;明治武士道;キリスト教と武士)
著者等紹介
菅野覚明[カンノカクミョウ]
1956年、東京生まれ。1979年、東京大学文学部倫理学科卒業。同大学院博士課程単位取得退学。専攻は、倫理学・日本倫理思想史。現在、東京大学助教授。著書に『神道の逆襲』(講談社現代新書、サントリー学芸賞受賞)などがある
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感想・レビュー
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佐島楓
52
明治以降とそれ以前の武士道は違うものだったという詳しい解説書。この本を読んで、昔の武士に対する認識が変わった。昔の文献にもっと触れる必要性も感じた。2016/04/14
無重力蜜柑
13
極めて良著。武士道という日本人なら誰でも知っていて、かつ知らない思想の内実と変遷を、各時代の社会構造を念頭に置いて平易に説き明かした本。簡単に言えば「今の日本人がイメージする武士道は偽物」「本物の武士道を教えてやるよ」という話。筆者の整理によると武士道は時代ごとに三種に大別できる。戦国時代までの「武士道」、江戸時代の「士道」、近代以降の「明治武士道」である。現代日本人が想像する武士道は一番最後のものだが、これは実際には最初の武士道からは程遠い。故に本書のタイトルは武士道の「逆襲」となっているわけだ。2024/04/02
テトロ
8
武士、武士道について改めて考えさせられる書。新渡戸稲造の外国に向けて発信された武士道と、戦国時代の武士道が似て非なるものであることが理解できる。日々命を懸けて過ごしていた武士の生き方を真似ることはできないが、その精神に学ぶことは多い。2019/10/07
tsubomi
6
2021.01.07-02.19:武士道を戦国時代以前の概念、江戸時代の概念、明治時代の概念に分けて解説。“明治武士道”がほかの時代とどう違うのか?について詳しく説明していて、特に『葉隠』からの引用が多いです。主君と家臣の恋心にも似た心情の通い合い、“諫言(かんげん)”は一番槍に勝る忠義の行い、など興味深い内容。ちょうど『麒麟がくる』の終盤の平蜘蛛エピソード付近で諫言の章を読んでいたので、自然に明智光秀のことを連想しました。曰く、死んでも名が残る戦死、身命を賭しても不名誉な死につながりかねない諫言、と。 2021/02/19
nob
6
武士は本来戦闘者であり、その思想はそこに根差したものである。戦闘者であることを離れて武士道は存在し得ない。いま武士道の名で呼ばれる道徳は、明治の武士以外の人間が生み出した、本来の武士道の残滓にすぎない。 著者の主張は、思想としての明治武士道批判ではなく、関係ないのに「武士」を名乗るな、という点が中心。ただ、「武士道」と聞いて今私がイメージするのは、「正々堂々勝負する」…立ち会いで変化しないとか、自陣でボール回して時間稼ぎしないとかのことで、著者の言う明治武士道の「忠孝」とは違う。一般的にはどうなのか。2016/12/19
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