出版社内容情報
入不二 基義［イリフジ モトヨシ］
著・文・その他
内容説明
飛ぶ矢のパラドックスに始まり、マクタガートの非実在性の証明を検証し、新しい形而上学を構想する。
目次
「時間の非実在性」はどう考えられてきたか
「時間の非実在性」の証明（証明の前半；証明の後半）
証明は成功したのか
もう一つ別の時間論―第四の形而上学的な立場
著者等紹介
入不二基義［イリフジモトヨシ］
１９５８年１１月１１日生まれ。東京大学文学部哲学科卒。同大学院博士課程単位取得。現在、山口大学助教授、山口大学時間学研究所主任研究員。専攻は哲学
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感想・レビュー
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ころこ
38
マクタガート『時間の非実在性』から時間を考察していますが、多くの読者は本書の議論を納得していないようです。Ａ系列とＢ系列の説明はＰ６９にあり、非常に分かり易い説明に一種感動すら覚えました。それにしても違和感を覚えるのは、時間という得体の知れないものに対して、Ａ系列とかＢ系列とか持ってきて、その論理的整合性から存在や実在を論じる規定性はどこからやって来るのだろうということだと思います。疑問なのは時間自体ではなく、ある事象に当てて時間を考察していることにあります。ある事象が過去・現在・未来といった時に、その事2021/05/05
へくとぱすかる
35
前半がマクタガート説の説明。後半がその検証となる。形而上的な議論だけで、時間を議論することに、現実の時間との整合性に問題がありそうな匂いがするが、結論については、実際に読んでいただくのが一番。哲学的議論は、その根元に近づくほど議論が先に進まず、問題自体を再検討していくしかないという点、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」との水面下でのつながりを感じてしまう。物理的に、空間のようには見えない時間の特殊性が、こんな形で現れるのか。単なる連想ではあるが浮かんでしまった。再読だが今回もそれなりの日数が必要だった。2015/03/27
tolucky1962
11
マクタガートの「時間の不在」論を解説している。時間は人に考えの中にだけあるというのではなく、実在しないということを証明しようとしている。時間をA系列B系列と分けて議論しているが、そもそも実在するということがどういう定義なのかで止まってしまっているようだ。著者は基本的にこのマクタガードの証明は失敗しているとするが、その中で学ぶことが多いとする。物理学系の人の時間の扱いとは全く違う不思議な世界だが、実用性は感じられない。2018/04/17
孤独な読書人
10
かなり難しい本。もう一度読もうと思います。2017/04/24
coaf
8
マクタガートの証明の解説、それに対する批判まではものすごく面白かった。中島義道の『時間論』で挫折した直後に読んだのだが、自分が時間それ自体に興味がないわけではないことが分かった。しかし、筆者の時間論に突入すると、何を言っているのかまったく分からないありさま。筆者による造語の意味が分かりにくく、急に話が込み入ってきて理解できなかった。まあ、それまでは分かりやすくて面白かったので購入した。2013/06/19
