内容説明
知識、行為、信愛―これらが神にいたる三つの道。その道程において、生と死、魂の救済、環境との調和など根源的な問いかけを発し続けてきたヒンドゥー教の成果と実践の姿を解説。
目次
第1部 ヒンドゥー教の本質と教え(ヒンドゥー教の本質と発展;インド社会の理想;カースト制度;慣習と祭り ほか)
第2部 ヒンドゥー教の歴史(インダス文明;ヴェーダ時代;ヴェーダ文化と教育;「ウパニシャッド」と『バガヴァッド・ギーター』 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
7
90年近く前にカルカッタ大学で行われた講義を書き起こした物なので若干の古臭さはあるけれど、ヒンドゥー教について表面上を薄くしか知らなかった自分にとっては色々と勉強になった。こうした物が下地となって何千年もかけて創り上げられてきた国々では、いきなりカースト制度をなくしたりすることは不可能なんだろうな。ネガティブな側面だけでなく、民衆に向ける視線の優しさなど意外な部分も解った。2014/12/14
サアベドラ
7
ヒンドゥー教の教義と歴史が簡潔にまとめられている。日本でヒンドゥー教というとサンスクリットの叙事詩(バガヴァッド・ギーターやラーマーヤナ、マハーバーラタなど)や民間宗教と習合して生まれた奇妙な容姿の神々あたりが中心で、それ以前のいわゆるバラモン教や仏教、ジャイナ教は別モノとして扱うことが多いけど(多分)、本書は著者がインド人だからかそういうのも全部ひっくるめて書かれている。浅く広くといった感じで、イスラーム以外のインドの宗教の歴史の全体の見通しをつけるのにはいいと思う。2012/10/14
大道寺
6
ヒンドゥー教を広く浅く。1961年に出版された本の翻訳なので、最新の研究ではないけれど、入門書としては問題ないかと。ヒンドゥー教のことを多神教と言うことがあるけど、多神教的一神教というのが本書によれば正しいのかもしれない。2014/12/22
isao_key
6
本書は1929年カルカッタ大学で行ったベンガル語による連続講演を『中世インドの宗教思想』として1930年に出版し、友人に英訳してもらったものとある。特徴としてまえがきで本書では一般民衆の宗教活動のなかにみられる根本的な考え方-哲学を積極的に取り上げることにより、インドの宗教や哲学について、さらに広い視野を提示しようと試みたと述べる。他のインド思想史と異なるのは、ヴェーダ、ウパニシャッド、バガバッド・ギーターなどについての記述を、他の項目と同程度に抑え、ジャイナ教と仏教などをの項を設けて解説を加えている点。2014/11/30
noko
5
ヒンドゥー教初心者にはベストな一冊。ヒンドゥー教には開祖がいない。インドに生まれた宗教や文化を吸収同化し、発展してきた。だからコーランや聖書のような解決の拠り所になる絶対的聖書がない。各宗派は古くから見解を異にしていて、今も相違がある。ヒンドゥーの由来から、カースト制度、アーリア人以前のインド文化などありとあらゆる説明がある。クシティ氏自体がヒンドゥー学者としてはBIGな人だが、1960年頃亡くなっているので、今時のヒンドゥーの事は書かれていない。現代として取り上げているのは、ラーマクリシュナやガンジー。2022/11/04