講談社現代新書<br> 精神医学とナチズム―裁かれるユング、ハイデガー

講談社現代新書
精神医学とナチズム―裁かれるユング、ハイデガー

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  • サイズ 新書判/ページ数 196p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061493636
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C0211

内容説明

ヒトラーに心酔したユング、ナチ党員だったハイデガー。現代思想史上に輝かしい足跡を残した「知の巨人たち」の知られざる暗部がいま明かされる。

目次

第1章 ナチズムと精神障害者
第2章 ナチ精神医学
第3章 ナチ政権下の精神分析
第4章 戦後ドイツの精神病理学とナチズム
第5章 日本の精神医学

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chanvesa

25
労働の可否という基準に基づく精神病患者の峻別は、近代の問題としてだけでなく、現代医療に通ずる尊厳死や、医学会の負の歴史など、著者が提示する問題点は広範に及ぶ。ナチの宗教的な側面からのアプローチ(160頁)やスイスの戦争責任(146頁~)といった論点も興味深かった。ハイデガーの問題は、ハイデガーの思想が全くわからないが、木田元先生が指摘するように、自身の思想をナチが体言化しないから失敗したと考えていたふしがある、ということから思想と体制が一部で融合していたのは確かなのであろう。2016/12/13

ステビア

18
ドイツの精神医学者たちにはナチの安楽死政策に加担していた者が多くいた。彼らは戦後も自らの行為を顧みることはなかった。新書という形態の都合でか記述がどうもあっさりしすぎているきらいがある。関連書を読めということだろう。2017/02/19

またの名

14
ユダヤ人よりも先に最初にナチがガス室による絶滅作戦を実行した対象は、障害者。無名の加担者のみならず今でも有名な大物理論家を含んだ多くの医療スタッフが関与しなければ、実現不可能なプロジェクト。フロイトとの決別で「心理的危機に陥った」と紹介される時期(第一次大戦期)に軍務に就き生き生きとした顔で写真に収まっているユングは、ゲーリングのいとこと親交を深めフロイト派一掃後のナチス政権下で体制に賛辞を贈る。ハイデガーのナチ的思想に黒ノート問題で弁解の余地がなくなるより20年近く前に既に問題を追及していた古びない本。2016/10/03

perLod(ピリオド)

6
メンタリストDaiGoの差別発言を受けて急遽再読した。第一章。社会ダーウィニズムからナチズムへのつながりや、障害者安楽死論について言及されている。ナチス政権下で社会福祉政策が否定され、予算が過小になり患者が多数餓死した。またポーランド侵略と同時に進められた悪名高き「T4作戦」では積極的に精神障害者がガス室送りになって大量に安楽死させられた。最初は州立精神病院の内部で行われ、ホロコーストに先んじること二年以上だった。こうした「安楽死」計画にはそうそうたる医学者が自発的に参加し、組織ぐるみだった。→続く2021/08/14

perLod(ピリオド)

5
1997年著。読了は2004年1月以降、2007年以前。ナチス・ドイツ期、ドイツ精神医学会が組織的にナチスに協力して精神障害者を抹殺していた事実についての本。2010年に同会が正式にこの件を認め、謝罪した。人間を生産性で評価する社会の行き着く先が書かれている。現在の日本も他人事ではない。本書でも指摘されているが、ナチスに共感していた著名人に対する無批判は一体なんだろうか。日本ではユングが人気だが、ナチスへの傾倒が語られることはほとんどない。「功績と思想・信条は別」とでも言うのだろうか、お気楽な話だ。

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