講談社現代新書<br> 将軍と側用人の政治―新書・江戸時代〈1〉

講談社現代新書
将軍と側用人の政治―新書・江戸時代〈1〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 240p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061492578
  • NDC分類 210.5
  • Cコード C0221

内容説明

社会の経済化が進んだ江戸中期の百年間。激動の時代の舵取りをした柳沢吉保、間部詮房、田沼意次らの軌跡を追い、これまで不当に貶められてきた「側用人の時代」に光を当てる。

目次

1 元禄という転換期
2 側用人登場
3 綱吉政治の評価
4 家宣・家継と白石政治
5 八代吉宗の側用人政治
6 江戸社会の立て直し
7 田沼意次の時代

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

71
大変面白く読了。自分にとり江戸時代と言えば家康による幕府創成期と幕末期、つまりは戦いの時代の歴史に関心が偏り、江戸中期泰平の時代については通り一遍の高校日本史の認識に留まっていた。その泰平の世にも徳川幕藩体制にたびたび波乱が。五代将軍綱吉の時代になると社会全体が経済化して元禄バブルの崩壊など、家格制による人材登用では対応困難な局面を迎え、身分にとらわれず能力のある者を将軍の側近に置く側用人制が始まる。これは老中松平定信に止めを刺されるまで実質約100年間続く。代表的な側用人として柳沢保吉、間部詮房、⇒2025/05/28

kawa

34
五代綱吉~十代家斉まで約100年間に存在の側用人(そばようにん)という役職を通じて、江戸時代前・中期の政治社会を論ずる。柳沢吉保、萩原重秀、間部詮房、田沼意次らが取り上げられる。いずれも当時の家格身分重視の組織原理に反する抜擢人事、既得階層からの批判ゆえか、後世においても「君側の奸」「賄賂政治」と悪イメージだが、本書はこの制度を長期幕府体制維持や日本の「近代」の用意に役立ったと肯定的に再評価する。「享保」「寛政」「天保」三大改革との比較も交えて、江戸時代の内実に迫る手に取ってラッキーな刺激的良書。2025/05/16

Aminadab

18
これも高島俊男本で薦めてあった。1995年刊。大石慎三郎先生は1923~2004年、70代後半にはもうあまり著述をなかったのでこれが大石江戸論のほぼ最終形態だと思う。1786年の田沼意次失脚と寛政改革を境に江戸時代は身分制度一辺倒の反動期に入り、近代化のためには徳川体制を排除するしかなくなった。それまでは将軍と側用人が、現代の経済学の知識がないなりにいろいろと知恵をしぼって経済運営をしていたのが、そういうことを許さない雰囲気が幕閣内にできちゃう。白石評価が低いが、経済の勘は学識一般とは別物ということか。2022/01/25

ネコ虎

11
教科書は嘘ばかり書いているということがよく分かる本。23年も前の本だが大石慎三郎氏の江戸時代の評価は的確で斬新で定評があった。久し振りに読み返してその思いを新たにした。側用人といえば将軍の権威を笠に着て、悪事を働くイメージが定着しているが、柳沢吉保、間部詮房、田沼意次らを有能な官僚として描いている。吉宗は将軍として評価は元々高いが、綱吉や家重など暗君とされている将軍も高く評価している。田沼意次は賄賂政治家として今なら国会とワイドショーで大叩きされるだろうが、大石氏は予算制度、税制、↓2018/01/30

OjohmbonX

6
現在では柳沢吉保や田沼意次がダーティ、新井白石や松平定信がクリーンなイメージで、これは後者が悪口をしっかり書き残していた成果だったと考えるとやっぱ声がでかい方が勝つみたいな。実際には後者より前者の方が有効な政策を打ち出していて、それは実態経済に基づいていたという話。本書は人間ドラマや性格の問題で片付けずに、多面的に経済と統治機構をシステムの変遷という形で見せてくれるからすごく面白い。西日本の銀貨圏と東日本の金貨圏の差や物の流れとか、貨幣単位が米だと酒の生産量でインフレをコントロールするとか、とても面白い。2016/12/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/239689
  • ご注意事項

最近チェックした商品