内容説明
神を想い、清貧に徹し、労働を重んじる―中世社会に影響を与えた修道院の活動の理念を軸に、その起源と展開を辿る。
目次
第1章 禁欲の起源
第2章 殉教から修道制へ
第3章 東方修道制の夜明け
第4章 西方修道制の始まり
第5章 『聖ベネディクトゥス戒律』の普及
第6章 改革修道院クリュニー
第7章 修道士の日常生活
第8章 源泉への回帰―十一世紀の修道院改革と聖堂参事会
第9章 シトー会の誕生
第10章 托鉢修道会の出現
第11章 中世末期の修道制
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サアベドラ
5
3世紀の起源から中世末期にいたるまでの修道会(院)の流れを概説・・・のはずなのだけれど力を入れているところと抜いているところの落差がひどい。あからさまに洋書を訳しただけ(しかも訳が稚拙で日本語の文章になってない)の箇所が散見されるのはどうにも頂けないです。どうせ新書なんて書ける量が限られているのだから、著者の興味の対象である(と思われる)クリュニーとシトーを中心に据えて書いたほうが良かったのでは?なんて思うけど編集が許しちゃくれないのかな。2011/01/28
Riopapa
4
最近、中世の修道院を舞台にした小説を読んでいるので、知識を仕入れるために読んだ。服従 (obedience)という言葉がよく出てきていたが、大事な教えの一つだった。修道士の生活習慣がわかったのが収穫。2014/10/25
やまぐてぃ
4
あまり馴染みのないテーマなので、その分新しい発見もたくさんあったが読むのには時間がかかった。修道士という俗世間からの離脱を目指した人々が教皇との関係や諸侯たちとの関係のなかで思想を変容させていったのが中々おもしろかった。エピローグの、中世ヨーロッパの修道院と日本の隠者文学との関係性は興味深い。2012/01/28
mob
3
この本の得意分野はグレゴリウス改革より古い時代だと考えたい。キリスト教系教育機関一筋の著者ゆえか、教会の遺した資料に従った内容はしっかりしているが、資料の背景を疑う姿勢は無い。新書なので興味を持って読み進める入口の入門書としては過不足なく適切な方だが、創作などの資料とするには全く向かない(終点にすると世界が倫理的で薄っぺらくなる)。修道院の成り立ちから修道生活のスケジュールまで資料的な利便性は立派にあるため、グレゴリウス改革など大本営発表丸呑み的な部分も一緒に呑んでしまいそう。2021/03/22
竜王五代の人
3
岩波の方の『修道院』で「そろいゆるり」氏が薦めていたので読んでみたが、確かに分かりやすい。混迷する俗世を逃れて修道院に入るローマ貴族、一族や係累のために祈る中世の修道士、修道院に籠らず説法するドミニコ会やフランチェスコ会の托鉢修道会と、いろいろな修道士のあり方に触れられているのはよかった。2020/11/08