内容説明
追放、大量虐殺、絶滅…ヒトラーの異常な反ユダヤ主義はいかに生まれ、実行されたのか。ウィーン、ミュンヘンでの青春期に芽ばえ、世界大戦への過程で極限に行きついた狂気の原因、推移を検証する。
目次
1 青少年時代の体験と傾倒
2 ミュンヘン時代
3 政権獲得前後の対ユダヤ政策
4 排斥、追放と絶滅の予告
5 最終解決への道
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
30
ヒトラーの反ユダヤ思想とユダヤ人絶滅政策の軌跡を追う。国際ユダヤの策謀により世界は乱れ、ユダヤ人の絶滅抜きに世界平和は訪れないとい彼の暴論。そのユダヤ人政策は、第二次大戦の他国侵略と同価値の目標として位置づけられていた。これだけでも馬鹿なと思うのだが、例えば映画「ヒトラーのための虐殺会議」(ホロ・コーストを決定したヴァンゼー会議が題材)では、分別が必要な国のリーダーたちが、ヒトラー思想を嬉々として議論している様が描かれ、一体何なんだと暗澹たる思いにかられる。忘れてはいけない重要な歴史の教訓がここにある。 2024/08/16
よこしま
28
安倍とヒトラー、イスラムとユダヤ人。◆安倍を知るにはナチスは必然で。今のムスリムを排他する欧米の世情と、彼のユダヤ人を排除する思想が似ているなと感じ、入門として読んでみました。◆何処でこの狂気な思想に至ったかは理解は出来ましたが、戦争開始後はドイツや周囲の歴史を把握していないと厳しいかなと。◆現代と比較すると、ターニングポイントであるウィーン。富裕層と貧困層がユダヤ人という構図の、貧困層がシリア難民に替わったのかと。私的にはヒトラーの固執も安倍の虚構も、裏で何かが利用しているのではというのが見解です。2016/07/03
ジュンジュン
12
ホロコーストに至るヒトラーのユダヤ人憎悪がいつ芽生え、どのようにして育まれていったのか?を検証する。意外にも「いつ」は確定していないらしい。夢破れたウィーン時代か、画家として過ごしたミュンヘン時代か、WW1従軍時か…確かなのは19年9月にはれっきとした反ユダヤ主義者になっていたという。また、ヒトラーが絶滅命令を出した証拠がないので周囲の意見に流されただけという意見もあるという。それに対して、著者は丹念に跡付けながら、命令の主体がヒトラー以外にあり得ないことを論証していく。2024/09/03
タカナとダイアローグ
10
ヒトラーは戦争することが目的であり、生存圏の確保という大義とユダヤ人殲滅という目的が分かち難く結びついてしまっている。反ユダヤ主義がヨーロッパ(たぶんアメリカも)に広がっていること、第一次世界大戦を経て残酷なことはしないだろうという楽観から迫害が見過ごされてしまった様子。ユダヤ人に対する恐怖、陰謀論、国際ユダヤ主義・共産主義への嫌悪が混ざって悲惨な扱いになったとのこと。ヒトラーがどうしてそんなにユダヤ人に拘っていたのかは歴史上の謎らしい。敵をつくって内政をうまくするとかいうレベルではなさそう。2023/05/03
キャモメ
5
ヒトラーが起こしたユダヤ人に対する凶行について。反戦の観点から、今後の自分自身の世界観や政治観を形成する重要な知識として記憶すべき負の歴史だと考える。2017/09/10