内容説明
内海に浮かぶ「アドリア海の花嫁」。四季折々の呼吸がたちのぼる大運河、路地に感じる街の体温、光と闇を彩る祝祭。足で識り五官でつかむ、水の都へ道案内。
目次
1 浮島
2 迷宮
3 五感
4 交易
5 市場
6 広場
7 劇場
8 祝祭
9 流行
10 本土
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aisu
8
建築を研究されている方の本という事で、建築中心かと思ったら、広くヴェネツィア全般についてでした。留学されていた時に書かれたそうで、下宿からトラゲットで運河を渡って大学へ通う…日々の暮らしや四季折々の出来事が、歴史も絡めて綴られています。1992年の本ですが、その当時の最新の事情などもわかりました。地図もあり、白黒で小さいけど写真や図画も豊富です。2019/01/04
うえ
6
ヴェネツィアの歴史を深く掘りさげつつも、読むものを楽しませ飽きさせないロングセラー。1992年刊行だ。東京と同じく夏蒸し暑い事情に触れつつ、建物の最上階に住む人だけが設置できる屋上テラス、アルテータの魅力について語りつつ、ヴェネツィアで生まれた言葉「ゲットー」におけるユダヤ人が、隔離されていたわけではなく「都市の中に、有機的な関係をもって挿入されていたと見るべき」と説く。地元の人々に人気で観光客のほとんど訪れない魅力的な居酒屋、レストラン「コルテ・スコンタ」(隠れた中庭)も紹介。法政の名物教授でもあった。2022/10/07
へど
4
『ARIA』からのステップアップとして、より広汎にヴェネツィアを知りたい!と手に取る人のニーズにぴったり応えてくれるような本だったと思います。知っている単語がわんさか、知らない単語もわんさか。なかでも「迷宮」「祝祭」の章は出色のおもしろさでした。図表も豊かで理解が捗りますし、これで税別860円は安すぎます。2021/12/27
takao
3
ふむ2024/05/24
Nunokawa Takaki
2
ある会話で、「そういえばヴェネツィアってどんなとこだっけ」という話から知りたくなり読んでみた。筆者が実際にヴェネツィアに滞在しているのもあり、ゴンドラ、劇場、別荘に実際に訪れた気になれる。「アドリア海の女王」というだけあり、レガッタと呼ばれる手漕ぎボートの競技だとか、水上ゴンドラで通勤したりだとか、水と密接な関わりがある。建物も、内側の構造、特に中庭の造りなどは、イスラムのそれと瓜二つではないかと思ってしまった。もしキリストとイスラムというフィルターを通せば犬猿の仲に共通点があるといったところか。2015/04/05