内容説明
インドで生まれたカレーが、いまや日本の食卓の王座についている。日本人はなぜカレーが好きなのだろう。アジア全土を食べあるき、香料のルーツをイギリスにさぐり、明治文明開化以来の洋食史を渉猟した著者が、熱っぽく語ったカレー文化論。
目次
序 辛くないカレーと黄色くないカレー
2 インドでカレーを考えた
3 カレー粉誕生
4 日本カレー繁盛物語
5 日本人はなぜカレーが好きなのか
カレーライスをつくるためのINDEX
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たみ
17
毎年お正月になると食べたくなるなるカレーライス…。カレーライスはインド料理なのか西洋料理なのか日本料理なのかと問われて日本料理と答える人も多いのではないかと思うのですが、どうして?と突っ込まれるとちょっと困る、その困る部分に突っ込んだカレーライスのルーツ探し。大正時代というと[はいからさんが通る]の時代かな、はいからさんも食べていたのかなぁカレーライス。そういえば、たまたま先週ジャガイモの代わりにレンコンをどっさり入れてあるカレーを食べたのですが、シャッキシャキ&ホックホクですごく美味しかったです。2016/02/29
丸太
4
日本のカレーライスのルーツを、インドやイギリス、日本の歴史から探索した本。好奇心とエネルギーに溢れ、カレーの話だけだが、飽きさせずに一気に読ませた。或る意味、名著だと思う。2015/08/29
てくてく
4
カレーライスが日本人の国民食の一つであるかのように日常に定着した理由などを考察した本。イギリスでカレー料理が一時期定着した理由が植民地としたインドからのスパイスだけではなく、彼らの食生活、特に肉を一週間で食べきる手段としてカレーが受け入れられたこと、しかしその後の食生活の変化で家庭料理としてのカレーはイギリスでは影をひそめていることなどの指摘、そして、大英図書館体験などが面白かった。2014/10/14
にゃん吉
3
インド、イギリスの現地取材、内外の文献の渉猟、古老からの聞き取りもふまえ、「カレー」とは何か、本邦において「カレー」がどのように受容され、伝播していったかが叙述されています。少し散漫なカンジもありますが、1989年第一刷という時期も考えると、労作ではないかなと思われます。大正期のカレーの普及状況のインタビューなど、今となっては、聞こうと思っても難しいことを思えば、貴重な一冊かなと。 2020/06/16
Aya Mizukami
3
カレーの奥の深さに取りつかれ、読んだ本。 様々なカレーやスパイスの紹介をはじめ、インドやイギリスにおけるカレー、日本においてどのようにカレーが普及していったかという歴史まで詳細に書かれている。特に第4章での、カレーのレシピやエピソードが載っている歴史的文献の紹介が興味深かった。 「外部のものを取り入れて、再形成するという日本人特有の文化がカレーの国民食化への一助になったのでは?」と主張する著者の意見に納得。2012/05/20