内容説明
福沢諭吉、鴎外・漱石をはじめ、明治の偉人たちは、漢文の素読を土台に早くから外国語を身につけた。ルソーは恋愛小説を、シュリーマンは『トロヤ戦役』を父親から読みきかされた。頭で理解せず、音の響きとリズムそのものを楽しむ音読こそが、外国語のマスターと諸学の基礎であることを、実践教育のなかから指し示す。
目次
第1章 素読を支えるもの
第2章 外国語早期教育と漢文素読
第3章 素読の歴史とさまざまな例
第4章 ヨーロッパでの経験
第5章 ユダヤ教の聖書朗詠
第6章 素読を始めるにあたって
付録 素読テキストの実際例
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかり
37
今から27年も前に書かれた本です。漢文の素読で培われたものが、明治維新を支え日本の原動力になってきた事。著者の海外滞在時の経験から、外国と日本の言葉の習得時の違い等々の話を交えながら、具体的な素読の方法が分かりやすく書かれている。 著者が語る、言葉に対して謙虚にならなくてはならない、私達を越えた何かが言葉を根底から支え(こと)を成り立たしめている、真実の言葉との出会いが人間を目覚めさせ主体的な行動に向かわせている、素読を支えるのは謙虚さである。との記述に共感できた。2013/07/31
やま
1
数年前に音読が話題になったが、本書の出版は約30年。日本における漢文の素読のほかユダヤ人の教育法にも触れ、音読の有効性を訴える。興味深い。2017/11/26
もん
1
素読をやってみたくなる本です。子どもができたら一緒に、なんて。2011/01/16