内容説明
流亡の民・聖書の民・キリストを殺した民、ユダヤ人。紀元70年に国を失って以来、強固な民族性を保ってきた謎。ナチスの大量虐殺を頂点に、数々の迫害を受けてきた理由。マルクス、アインシュタインなど優秀な人物を輩出してきた秘密。ロスチャイルドに代表される大富豪がいる一方、極貧にあえぐ人々がいる。権力に取り入った者がいると思えば、革命家になる者もいる。毀誉褒貶のはげしいユダヤ人の謎を歴史をたどりながら解明する。
目次
第1章 古代のユダヤ人
第2章 イスラム・スペインのユダヤ人
第3章 中世ヨーロッパのユダヤ人
第4章 東欧ユダヤ人
第5章 ヨーロッパ近代のユダヤ人
第6章 シオニズムへの道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
64
30年ぶりくらいの再読。1986年の著作なので、人名表記が例えばロシア皇帝なのにアレクサンダーになってたりするが、ユダヤ人についての基礎的な知識をサクッと押えるには手頃な本だと思う。ディアスポラについてはあまり書かれていない代わりに、中世に関しては結構手厚く、セファルディーム、アシュケナジーム、さらにはアメリカのユダヤ人社会についても触れられている。一部ちょっと気になるところもあるし、ややイスラエルびいきな面もある。現在のイスラエルの民族主義的な振る舞いは、本書の段階では想像しづらかったかもしれない。2023/04/24
蓮華
22
無宗教、愛国心が少ない日本人である私には、異教徒を弾圧したり、人種差別は理解に苦しむ。 どんな宗教でも、どんな人種でもみんな仲良くすればいいじゃないかと思うのは、平和ボケしてるからなのかな。2018/01/03
ステビア
16
世界各地のユダヤ人の歴史を追う。わかりやすい。2016/09/25
おとん707
13
再読。ハマスに対するイスラエルの過剰ともいえる報復の根底を知りたかったのが再読の動機。著者は独文学者だがエルサレム・ヘブライ大学イディッシュ文学科留学の経験があり出版時はまだ40代前半。だから内容には部外の研究者のものというより著者が肌で感じたユダヤ人観を感じる。イスラエルのユダヤ人と言ってもルーツも考えも様々だがユダヤ人を結ぶ何か独特なものを感じるという。読んでみてネタニアフの超強硬姿勢も国民の総意ではないがユダヤを結ぶ独特なものが強硬さを増長しているのではと感じた。多少ユダヤに同情的だが概して中立的。2024/01/29
たみ
13
ユダヤ人について悪い話も良い話も、痛ましい話も逆の話も、貧しい話も大金持ちの話も聞いたり読んだりする。複雑な歴史があるんだなぁ。以前にどこかで「ユダヤ教徒になればユダヤ人であるといってもいい」と聞いたような気がするけど本当なんだろうか。代々受け継いできた人と改宗した人とが同じ価値観に立てるんだろうか。それにしてもデマは怖い。2015/08/12