講談社現代新書<br> 日本の神々 - 古代人の精神世界

講談社現代新書
日本の神々 - 古代人の精神世界

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 237p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061456648
  • NDC分類 162.1

出版社内容情報

【内容紹介】
4万5000年前もの昔、ネアンデルタールは、死者の霊魂に花をささげたという。この宗教に通ずる心のはたらきは、古代日本人にも読みとることができる。ばらばらにこわされては埋められる土偶、酵母壺につけらえる蛇体把手、稲作の祭器・銅鐸、太陽を呼ぶ巫女の鏡、死者をまつる巨大な墳墓・古墳――。そこには、再生と豊饒への折りが、稲の精霊と大地と水への信仰が、太陽神・日の御子への崇拝が見てとれる。彼らは、どのように神をつくり、まつり、怖れたか。遺物や遺跡にひそむ意味を読みとることによって、その時代の人間精神を明らかにする精神史の方法から、神観念形成の跡を辿り、日本の神々をはぐくんだ古代の宗教意識を究明した意欲作。

神観念の核――古代日本人はもともと神という観念によって、火山の噴火や台風などあらゆる自然現象ならびに人間や動物や植物や巌石にあらわれる神秘な現象と対応したのである。異常な力や現象のなかに神を認める考えは、あらゆる自然現象に鋭敏な注意をむけさせるが、同時に、神を異常な力や現象のなかにひきとどめるのであった。人格神の成長ははばまれ、自然神の人格神化も不完全にとどまるほかはない。日本の神々はいずれも自然から完全に離脱できないのである。それはまた、日本の神についての理解の不安定をもたらすことになった。神について和魂と荒魂という2つの面を考えたところに、神に対応する古代日本人の不安定な理解のしかたが認められる。それは神に対して畏怖するとともに、親和しようとするところに生まれた、神の理解のしかたである。――本文より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

7
「志賀海神社の祭神は、ソコツワタツミノ神、ナカツワタツミノ神、ウワツワタツミノ神の三柱である。神話においては、黄泉の国よりかえったイザナキノ神が禊をしたときに、出現した神であって、阿曇連らが祖神としてまつる、と古事記にしるされている。同じときに、ソコツツノオノ神ナカツツノオノ神、ウワツツノオノ神三柱も出現しており、住吉にまつられる神とされる。ツツノオノ神をまつる神社としては、摂津の住吉大社がいちばん世に知られているが、最初にまつられたのは、福岡県住吉町にある住吉神社であるという説がある(『神道大辞典』)」2018/11/20

さきん

6
神は現在においては否定されているといってもよいが、人間はわざわざ心の中に神という存在を作り出したことには意味があり、深い重要性を持っていると思う。神の存在は人間の道徳規範に影響する。2015/07/12

寝なきゃ

2
自然、神、人の関係。神を人が生む? 興味深い内容です。2015/10/16

ちゃか

1
「人間が神をつくりだすのであるが、その神が人間を規制する」。精神史としての神話の研究。神話学とか国学とか、宗教学とかの考察に満足できず自分で研究してみたらしいよ。その甲斐あってか、最近読んだ神話系の本とはまた観点が違って面白かった。言葉づかいも結構好きだったかな。「そこには人口のはてに自然を眺め、自然への回帰をもひそめた、日本人の文化形成の意欲が認められる」とか。名台詞、とかそういうわけじゃないんだけど、すっと読めて、納得できる、いい文章だと思う。2012/04/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/237657
  • ご注意事項

最近チェックした商品