出版社内容情報
【内容紹介】
いまだ呪術と迷信が渦まく中国前漢の時代、武帝の怒りをうけ、宮刑により去勢された司馬遷は、その後、屈辱感にみちた人生をどのように歩もうとしたのか。彼の唯一の救いは父・談の遺言だった。「『史記』を書きあげ、後世に名を残せ」。極刑をバネに、1人の歴史家の再出発があった。紀伝体の形式で、以後の中国歴史書の原型となり、さらには自分の主張を入れた、初めての書として、「史記」を完成させた司馬遷の内面を、斬新な視点と実証で描きだした力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
「巫蠱というのは…桐の木で呪いをかける相手の人形を作って土中に埋めておき、相手の死を祈るのである。民俗学者のフレイザーは呪術に対して有名な二つの原理を立てている。一つは、類似の法則、いま一つは、接触感染の法則である。後者は、たがいに一度接触すると、その感触が消えたあとも、続いて影響しあう…前者は…呪う相手の人形を作り、その人形に釘を打ちこみ、殺すという類感を作り出すわけである。…この巫蠱の妖術は、漢代に相当に流行した…その巫蠱の術を、なにびとかが武帝に対して行っていると、江充によって上奏されたのである。」2025/09/07




