星海社ＦＩＣＴＩＯＮＳ 果てなき天のファタルシス

十文字 青【著】

星海社（2013/03発売）

• サイズ B6判／ページ数 342p／高さ 19cm
• 商品コード 9784061388581
• NDC分類 913.6
• Cコード C0093

出版社内容情報

正体不明の敵・ファタルに蝕まれ、滅びゆく世界。それでも、少年少女たちは虚しく抗う。十文字青が贈る、一瞬と永遠の物語。空が青い。なんて青いんだろう──。
正体不明の敵・ファタルに蹂躙され、滅びに向かう黄昏の世界。人類に残された僅かな街の一つ、朧市では、少年少女までもが前線で命をかけて戦う。
記憶を失った主人公・大海八尋もまた、刀を手に、絶望的な戦いに身を投じてゆく。全てが不確かであやふやで、失われてしまうものであるとしても──それでも、世界は美しい。
異才・十文字青が同人誌『BLACK PAST』に発表し、話題をさらった長編を加筆訂正し、解説を加えて星海社FICTIONS化。解説・坂上秋成

十文字 青［ジュウモンジ アオ］
著・文・その他

ネコメガネ［ネコメガネ］
著・文・その他

内容説明

正体不明の敵・ファタルに蹂躙され、滅びに向かう黄昏の世界。人類に残された僅かな街の一つ、朧市では、少年少女までもが前線で命をかけて戦っていた。記憶を失った主人公・大海八尋もまた、刀を手に、絶望的な戦いに身を投じてゆく。全てが不確かであやふやで、失われてしまうものであるとしても―それでも、世界は美しい。

著者等紹介

十文字青［ジュウモンジアオ］
作家。北海道大学文学部卒。『純潔ブルースプリング』で第７回角川学園小説大賞・特別賞を受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[かんがる]

中々本屋に置いてない本　昔に書いた作品なのかな？？？ スランプで思い悩む前の素晴らしい作品だと思う 作者の鬱性格が見事に作品に融合　絶望や鬱っぽい感傷 それがあるおかげで何倍も感動する リアルで生々しく　学生生活と兵士としての異形との戦い 恋愛もあれば　仲間の死もある！ かなり悲しく切なく生々しくグロイ話 最近の作品あまり評価してなかっただけに これはかなり良かったと思う。 薔薇のマリアの全盛期を彷彿させる作品

[はつね]

記憶喪失の少年が流されるがままに異生物との戦争に身を投じていく学園ファンタジー戦争モノ。自我に対して自信が持てないという不確かさ、クラスメイトと徐々に打ち解けていき、戦場に自らの居場所と価値を見出してしまう空虚さ、思いを寄せる女子生徒との青い春も、すべて根底には遣る瀬無さが流れていていると感じました。切なく、でもほんのり温かさも漂う透明感が印象に残る筆致でした。ラストは好き嫌い分かれそうで、わたしの好みではない為、傑作とは言い難いかな。でも面白かったです。

2015/01/18

[たけ]

極限状態での少年少女の描写が秀逸。過去の自分も、世界もわからないままで、すべてが不確定の中で自分の存在意義を見出そうと空回る。この作者はそのような、一瞬の激情を行動に移してしまうどうしようもなさを描くのが得意な気がする（言えるほど著書を読んでいるわけではないが）。主人公は劇中で悩み、傷つき迷うが、最後にはすべてを受け入れる。読後感の何とも言えない爽やかさはイリヤなんかを思い出した。

2013/08/01

[ころん]

目を覚ますとそこは病室で、ボブカットの少女・シユが居た。自分に関する記憶をすべて失ってしまった八尋は、シユに助けられながら日常生活へと復帰するが、突如鳴り響いたサイレンによりファタルとの戦いへと連れ出される。終わりゆく世界での少年少女の物語、ただしガチで戦争もの。何人も死ぬし怪我もするしハッピーエンドかどうかわからない終わり方だけど、不思議と爽やかな読了感。澄みわたった青空がとても印象に残ります。

2013/04/03

[椎名]

終末青春物かと思いきや普通に戦争物で一瞬戸惑ったが、澄んだ良作だったのではないかと。全体を通して少し軽く感じたのが残念ではある。何が本当かわからない世界で、手探りで見つけた自分にとっての真実だけは本当であると既定していくのは、誰もが日常的に行なってはいるがなかなかどうして意識してそうしているわけではない。頼りない世界と意識の中で、何を事実だとするか、一瞬の光芒に何を見出だすか、それを自分の頭で考えろと突きつけてくる作品だった。

2013/03/26