星海社新書
江戸しぐさの終焉

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  • サイズ 新書判/ページ数 188p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061385825
  • NDC分類 385.9
  • Cコード C0295

出版社内容情報

創作者・芝三光の人となり、推進団体のお家騒動、そして教育界の混乱。新史料をもとに、作られた伝統・江戸しぐさに引導を渡す一冊!日本の教育をむしばんだ「江戸しぐさ」を終わらせるために
「江戸しぐさ」は、芝三光という人物が、一九七〇年代以降に“創作”したマナー集とでもいうべきものである。そのネーミングとは裏腹に、実際の江戸時代の風俗とはまったく関わりがなく、西洋風マナーの焼き直しや、軍国主義教育の残滓まで含んだ紛いものである。その「江戸しぐさ」は今や、芝の系譜を引く普及団体のコントロール下を離れ、文部科学省や学校教育までも汚染してしまった。我々はどうして、この「作られた伝統」の普及を許してしまったのか。果たして、社会の隅々に拡散してしまった「江戸しぐさ」を終わらせることは可能なのか。本書では、「江戸しぐさ」の普及史を辿りつつ、その「終焉」に至る道筋を提示する。

原田 実[ハラダ ミノル]
著・文・その他

内容説明

「江戸しぐさ」は、芝三光という人物が、一九七〇年代以降に“創作”したマナー集とでもいうべきものである。そのネーミングとは裏腹に、実際の江戸時代の風俗とはまったく関わりがなく、西洋風マナーの焼き直しや、軍国主義教育の残滓まで含んだ紛いものである。その「江戸しぐさ」は今や、芝の系譜を引く普及団体のコントロール下を離れ、文部科学省や学校教育までも汚染してしまった。我々はどうして、この「作られた伝統」の普及を許してしまったのか。果たして、社会の隅々に拡散してしまった「江戸しぐさ」を終わらせることは可能なのか。本書では、「江戸しぐさ」の普及史を辿りつつ、その「終焉」に至る道筋を提示する。

目次

第1章 「江戸しぐさ」とは何か
第2章 「江戸しぐさ」の推進の歴史―提唱者・芝三光から文部科学省まで
第3章 「親学」の正体
第4章 「江戸しぐさ」をめぐる風向きの変化
第5章 弱体化する推進団体
第6章 「江戸しぐさ」問題の責任
終章 「江戸しぐさ」の終焉

著者等紹介

原田実[ハラダミノル]
歴史研究家。1961年生まれ、広島市出身。龍谷大学卒。八幡書店勤務、昭和薬科大学助手を経て帰郷、執筆活動に入る。これまでの著作は20冊を超える。元市民の古代研究会代表。と学会会員。ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)会員。日本でも数少ない偽史・儀書の専門家であり、偽書『東日流外三郡誌』事件に際しては、真書派から偽書派に転じ、以降徹底的な追及を行ったことで知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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harass

52
『江戸しぐさの正体』の続編。前作の簡単なまとめと批判本出版後の反響のことをまとめてある。また創作した人物の弟子がNPO団体を設立した経緯など。由来や原典が曖昧なものでも、マスコミに取り上げられることで無批判に信じられてしまう昔からの日本社会の問題の一例であると著者は指摘する。嘘でも道徳として役に立つならいいのではという批判もあるそうだが、嘘は嘘として趣味として楽しむのはいいが、公教育で嘘を本当のように教えるのはどうかとは。いろいろ考えさせられた。前作とこっちのどっちかを一冊を選ぶなら、こっちのほうがいい。2016/09/08

メルル

30
これを学んだ世代が誤りを認めない大人たちのせいでこの先も信じ続けてしまうという事態は避けたい。この誤りを認めない姿勢は教育にとってマイナスでしかない。この大人たちはこの先どんな子どもたちを育ててしまうのだろう。ほかにも親学やTOSSなど興味深い。日本はトンデモだらけなのだろうか。ぜひこれらのトンデモも詳しく知りたい。2016/04/14

そうたそ

16
★★★★☆ 前作から引き続き、終焉に向かう江戸しぐさを追った一冊。メディアどころか政治の世界までをも巻き込んだ江戸しぐさという偽史が、たった新書一冊でその嘘っぷりが明るみに出て、いろいろなところが手のひら返しに奔走するというのが何とも滑稽でならない。このような明らかなデマが子供たちに広まり教育されてしまうのを防いだだけでも著者の貢献たるや相当のものではないか。2020/01/06

サケ太

16
拡散され、教育の場にまで浸透した“江戸しぐさ”はどうすれば終わるのか。マナーを守る、それを教えるのは確かに良いことだが、嘘の伝承を土台とするものを『本当』として伝えることは、正しいのか。一人の男から創られた偽史。それが、男の手を離れて、嘘の伝承さえ知られぬままに成っているのが恐ろしい。その騒動も徐々に沈静化の傾向にあるが、未だに江戸しぐさは道徳の教科書に存在し、文部科学省はその最大の指示団体ともいえる。同様の現象は今後も起こる可能性があるという。虚構は虚構と、嘘を見抜けるだけの知識は身に付けておきたい所。2018/08/17

たこやき

16
前著『江戸しぐさの正体』が刊行された後の動向などを中心に、江戸しぐさがなぜ広まってしまったのか? などを考察した書。私自身は、(本書の中でも出てくる)「ゲーム脳」論批判をかなりやってきたつもりなのだが、その広がる過程などと共通する部分が多いと感じる。前著の後、江戸しぐさに対する疑念が相当に広まったことは朗報なのだが、ゲーム脳批判者としてはこの後が厄介だと感じる。意外と、こういうのってしぶとく生き残るので、ゴキブリを見たら潰すように、この後も細かくチェックしていくっていうのは必須だろう……2016/03/29

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