出版社内容情報
【内容紹介】
黒人スラム街にともに暮らし、黒人たちを撮り続けたフォトジャーナリスト吉田ルイ子――貧困・麻薬・売春・差別に象徴されるニューヨーク・ハーレムで、人間が人間であることを取り戻すことに目覚めた黒い肌の輝きを、女の感覚とカメラの冷徹な眼でヴィヴィッドに把えたルポルタージュ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ntahima
42
三読。多分20年振りに読む。表紙の何かに挑みかかるような目をした黒人少年の写真が非常にインパクトを与える。ハーレムから見た60年代のアメリカの姿が生き生きと描かれている。50年前のことを40年前に書いた本なので、現地報告としての使命は既に終えているが、筆者の、そしてアメリカ合州国の青春期の話としては非常に面白い。ケネディ兄弟、キング牧師、ブラックモスレム、マルコムX、ブラックパンサ―、ベトナム反戦、毛沢東、カストロ、チェ・ゲバラ、赤軍派…こんな言葉がまだ希望を持って語られていた熱い政治の季節の物語。良書。2012/01/12
meg
27
昔読んでの再読。やはり吉田ルイ子の主張はすばらしい。人権から目を逸らすことは気候変動よりもおそろしいことだ。すばらしいルポタージュ。2024/09/21
藤月はな(灯れ松明の火)
18
父からのお勧め本。作者が「差別に負けずに頑張れ」と黒人男性に行ったところ、「じゃあ、手を触れるか」と訊かれ、答えられなかったり、リベラルだと思っていたアメリカ人の夫から黒人や黄色人種の蔑称を聞いて作者と共にショックを受けたことを父に話したら父は「差別は失くそうとしても文化や先入観などで染みついているために簡単に消せはしない」と言いました。キング牧師の死後から50年経ち、オバマ大統領が何とか政治の打開策を模索している中でもある差別。日曜になるとヘイトスピーチが叫ばれる今と照らし合わせると苦しい。2013/08/19
中田俊輔
14
1989 If You Love Somebody Set Them free ベルリンの壁が崩壊してジプシーの歌が聴こえてきた 、の写真家に影響を与えた本で1960年代にハーレムに住んで後に写真家になった本で当時の黒人差別やハーレムがら違うところに住んでみたらハーレムより酷い状況だったりジャズプレーヤーが黒人と言う事で不当な扱いをされたり日本人も白人より下という考えがあった時代の本でもちろんモノクロの写真が当時の雰囲気を切り取っていて、いい本でした。 2020/03/09
あいちょ。
7
表紙にやられて購入。 吉田サンと、被写体の距離感が素敵だと思った。 単一種族に近い日本に生まれたあたしは、アメリカの本当の差別を理解し難いのだが、だからと言って無関心では居られない。 色々と興味深い一冊でした。2012/01/23