感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
54
この巻でデュマは恐ろしい見せ場を用意している。まずはチャールズ一世の処刑だ。台の下に潜むアトスが宿に戻ると、額にべっとりと血がついているのだ。また仇敵モードントと深夜の海での死闘…ここは憎悪と裏切りの凄まじさに圧倒される。今度ばかりはさすがのダルタニャンも英国王を救出できなかった。しかし命がけで難事に挑む根性や四人の結束力は読んでいて気持いい。それにしてもフランス人は脱出劇が好きだと思う。長いこと監禁の恐怖に脅えた歴史のせいだろうか? 彼らにとって、脱出劇は自由への渇望を癒やす定番の物語なのかも知れない。2015/08/14
NAO
50
「二十年後」という副題が付いた話の最終巻。囚われの英国王救出劇と、復讐鬼モードントの執拗な追跡、何があろうと決してあきらめない四銃士の胸のすくような活躍の後のダルタニャン逮捕。デュマの話の盛り方は過剰なほどだが、宮仕えのダルタニャンが最後にマザラン枢機卿を生け捕りにした所で一気に憂さが張れるという、話の終わりにふさわしい大団円。それにしても、ぶざまに生け捕りにされ、しかも私腹を肥やしていたのが明るみになってさえも、太后がマザラン枢機卿に愛想を尽かさないのが不思議。2016/08/08
鐵太郎
9
復讐鬼、というのはミレディーの息子のことなんだろうけど、こいつがまた大活躍。どう考えてもコネも肩書きも実績も爵位もないはずなんだけど、どうやってかクロムウェルに取り入って、フランスへの外交使節になるは、伯父は殺すは、処刑人でもないのに国王の首を切るは。でもってどんな権限でかわからないがフランスからの使節を捕らえて殺そうと命令を下しています。スーパーマンですな。(笑) とにもかくにも、清教徒革命とフロンドの乱の前半にあの四人はこんな関わりをした、と言う見事な歴史劇。嘘だろと思いつつ、面白い。さすがデュマ。2016/04/02
岩原@FIKA HOUSE
6
ダルタニャン物語第二部『二十年後』のラスト。『三銃士』にも増して話のスケールでかくて楽しかった。これが絶版だなんて勿体ないなぁ。 それにしても太閤アンヌは恩知らず&外道だなー。復讐鬼モードントが可愛く見えるレベル。2015/06/18
しもふさ
5
偉い人は恩知らず、結局、忠誠よりも脅迫なのがリアルだなぁ。アラミスは中年になってますます剣呑になっちゃってまぁ。アトスの崇高さはほかの3人の能力があって実現するし、3人の行動はアトスの崇高さにより促されるという関係はいいな。2016/01/10