出版社内容情報
【内容紹介】
太平洋戦争の末期、死闘をくり返す沖縄に於て、女学生ばかりで結成された姫百合部隊200人余の大半が、米須(こめす)の洞窟で玉砕するまでの悲惨な90日を濃密に描く。乙女たちを中心に、死の行進を強いた戦争指導者への深い憎しみと怒り、戦場に散った若い生命への愛惜が全篇を貫く感動の名篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佳乃
24
太平洋戦争でもっとも被害にあったのは沖縄であろう。また、軍国主義であったが為に多くの命が犠牲になったのも事実である。いまだに基地問題で悩まされ、そして米軍人は問題を起こしても理不尽な法に守られている。(話が逸れてすみません)大和魂がなんだ、と私は思う。そんなものの為に尊い命を犠牲にしてなんになる。帝国軍人の愚かな思い込みや、降伏は恥だのなんだのと。民間人を巻き込んでの戦争になんの利益があるのか。女子供にまで洗脳して、そこには何が残ったのか。2020/01/22
zoe
23
前回はいつ読んだか。最近、原爆だの長崎だのと話題にのぼるし、推理小説や警察モノで残虐なシーンが出てくるので、改めて戦争とは何ぞ、またそのようなシーンのご遺体はどの様な状況かということを呼び起こす作業をしたくなった。長いものに巻かれて偉そうにする、大して偉くもない軍人が、何かに似ててしかたない。2018/11/13
いりあ
20
沖縄県立第一高等女学校と沖縄師範学校女子部の生徒からなるひめゆり学徒隊の中で、最も被害を受けた第三外科壕の学徒隊が南風原の陸軍病院から糸満市米須まで従軍した様子が描かれます。沖縄出身の作者が戦後すぐに連載をはじめた作品であり、当時の世相を色濃く反映している反戦小説だと思います。本作はフィクションですが、現実はここに書かれていた以上の地獄絵図だったはずです。修学旅行で"ひめゆりの塔"に一度だけ行きましたが、その時の事を全然覚えておらず、本当に申し訳ない事をしたと思います。もう一度気持ちを入れかえて訪れたい。2013/10/11
Our Homeisland
20
こんなに良い本、素晴らしい内容の、貴重な名作なのに、読書メーターの登録数がたったの69とは、本当に残念です。世の中、名作も面白いものも読むべき内容の本も数え切れないほどあるでしょうが、まずは何よりも、こういう名作、こういう内容の本は、読まないといけないと思います。決して、読みやすいわかりやすい文章の本ではありませんが、書かれている内容と、それぞれの登場人物と、巻き込まれ方の描写の壮絶さが、半端ではありません。硫黄島戦の次が沖縄線でしたが、住民が巻き込まれた本土上陸戦という、他にはない戦闘が描かれています。2013/09/13
壱萬参仟縁
10
蔦屋でビデオを借りてみたのは10年前。沖縄戦。集団自決。鉄血勤皇隊。ひめゆり部隊。若者の戦争に駆り立てられる理不尽さ。悍ましいの一言。護郷隊というのは知らなかった(86頁)。この恐ろしい荒廃のうえに人類の自由と平和は生まれるものだとすれば、嘆いてばかりはいられない(135頁)。なかなか指摘できないこと。3.11復興とダブる。改憲を志向される方は、本書を読んで踏みとどまってほしい。本来は、米軍基地軍縮であって、移転する問題ではない。思いやり予算も廃止してほしいと思う。沖縄のこころとは、平和志向するマインド。2013/06/07




