出版社内容情報
【内容紹介】
日蓮が生きた貴族時代から武士団社会への過渡期は、強者が弱者をむさぼる混沌の時代であった。日蓮の目にそれは、末法の現われと映じ、末法であればこそ法華経に帰依し、武力に代わる仏法をもって、世の道理とせねばならぬと説いたのであった。本書は、法難の連続であった生涯を跡づけながら、その法華経への絶対帰依の思想を、現代との連関で明らかにしてゆく。宗教社会学者の手によって公平な場におかれ、なお魅力あふれる日蓮像がここにある。
日蓮の思想の系譜――日蓮の考え方を知るうえにおいて、心得ておかねばならぬことは、その思想の系譜に2つのものがあることである。1つは、古来外相承と呼ばれているものである。他の1つは、内相承と呼ばれているものである。外相承というのは、インドの釈尊、中国の天台、日本の伝教および日蓮という系譜であって、これを日蓮自身の言葉によれば、三国四師というのである。これに対して内相承というのは、釈尊から本化地涌の菩薩の上首、上行を媒介として、直ちに日蓮にいたるものである。事実日蓮は、佐渡へ流される前は天台沙門日蓮と称していた。佐渡に流されて以後は、本朝沙門日蓮と記すように変ってきている。――本書より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
32
難解。日蓮さんには叱られるかもですが教養のための一冊ということで。大乗仏教は総合芸術、小乗仏教はアラカルトは、なるほど? 故にか、法華経がベストな理由がさっぱりつかめない。そもそもキリスト教やイスラム教のごとき、一神教的特徴と親和性の高い日蓮宗。我が教えが一番という姿勢は二元論的発想で、釈迦の教えから遠いような気がするのだが・・・。これからの個人テーマとしてテイクノート。2024/04/29
とりぞう
0
IPad用に自炊したのを機に再読。学者というよりも信者の記した本で、細かく気になるところでの客観性欠如に不満を感じるところが多かった。2010/07/03
小寅
0
日蓮の歌舞伎を見たので、何かガイド的なものをと思い読んだけれど、理解がいまいち出来なかった。 わかったのは宮沢賢治が法華信者だということ。 また何か、日蓮関係の本を読まないと理解するのは私には難しいんだなぁ。2021/09/17
こうきち
0
かなり古い版を買ったので、著者が何者なのかがよくわからず(笑)。個人的に驚いたのは、竜の口の法難のあたりですね。日蓮が竜の口で命を落としかけたことは事実であろうが、刑場に連れていかれて、首を切る直前に光が走り斬首はお流れになったという話は、相当に作り話の部分が多いのではないかということです。しらんかった。2019/12/01
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- 和書
- 原子力に未来はなかった